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特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔腸〕
Clostridium difficile関連性腸炎(Clostridium difficile infection;CDI)
著者: 藤田浩史1 平田一郎1
所属機関: 1藤田保健衛生大学消化管内科
ページ範囲:P.794 - P.794
文献購入ページに移動CDIの発症危険因子は65歳以上の高齢者,易感染性患者,重度の基礎疾患,長期入院,胃酸の長期間抑制されている患者などが挙げられている.便培養は診断に時間がかかるため糞便中のtoxinを直接計測する酵素免疫測定法(enzyme immuno assay;EIA法)が使用されることが多い.C. difficileの主な腸管病原性は産生される毒素にある.toxin Aは好中球遊走因子を有する強力な腸管毒素(enterotoxin)であり,腸液の分泌や腸管血管,粘膜の透過性を亢進させ,腸液の増加と蛋白の漏出による下痢を来す.toxin Bは細胞傷害性毒素(cytotoxin)であり,toxin Aの存在下で細胞透過性が亢進していると,toxin Bがより細胞内に入り込みやすくなり細胞傷害性を発揮する.toxin Aは,細胞培養系の腸管上皮細胞のtight junctionを破壊する作用があり,腸管粘膜を傷害する病原性があると考えられる.toxin Bはtoxin Aの10倍細胞毒性が強いと言われるが,toxin B単独では細胞膜の破壊もtight junctionの破壊も起こらないため,toxin Bの病原性はtoxin Aとの相互作用にあると考えられていた.しかし2000年にtoxin A-/toxin B+菌株によるout breakが起こり,両方が測定できる検査キットが開発された.日本国内におけるtoxin A-/B+株は9~40%あると報告されている.
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