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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔腸〕

志賀毒素産生性大腸菌感染症(Shiga toxin-producing Escherichia coli infection)

著者: 滋野俊1

所属機関: 1信州上田医療センター消化器内科

ページ範囲:P.796 - P.796

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 下痢原性大腸菌は病原機序の違いにより,腸管病原性大腸菌,腸管侵入性大腸菌,腸管毒素原性大腸菌,志賀毒素産生性大腸菌(Shiga toxin-producing Escherichia coli;STEC)および腸管凝集性大腸菌に分けられる.このうち志賀毒素産生性大腸菌は,志賀毒素を産生する下痢原性大腸菌と定義される.1982年に米国で発生したハンバーガーによる集団食中毒において大腸菌O157が原因菌と断定され,激しい血便と腹痛を呈することから当初は腸管出血性大腸菌と名付けられた1).まもなくこの菌がベロ毒素を産生することが判明し,ベロ毒素産生性大腸菌とも呼ばれるようになった1).その後,ベロ毒素は志賀毒素と同じ生物活性を示すことから,毒素名を志賀毒素,菌名をSTECと呼称を統一することが提案された1)が,本邦では腸管出血性大腸菌,ベロ毒素産生性大腸菌の名称もいまだ臨床上用いられている.本邦で検出されるSTECのO抗原血清群はO157が最も多く,次いでO111,O26の順である.O157出血性大腸炎の典型例では1~8日の潜伏期の後,腹部疝痛・下痢で発症し,下痢は1~2日で血性下痢に変わる2).通常出血性大腸炎は5~7日で治まるが,本症の数%に溶血性尿毒症症候群を合併することには臨床上注意を要する.O157出血性大腸炎の典型的内視鏡像は,右側結腸で著しい炎症所見を呈し,左側結腸に向かうに従い炎症所見は漸減する(Fig. 1)2).また,縦走潰瘍を呈する例もある2).CTでは,右側結腸の著明な壁肥厚像が特徴的である(Fig. 2)3)

参考文献

1)勢戸和子.STEC(志賀毒素産生性大腸菌).仲西寿男,丸山務(監).食品由来感染症と食品微生物.中央法規出版.pp 281-296, 2009
2)滋野俊,赤松泰次,藤森一也,他.感染性腸炎の最近の知見─腸管出血性大腸菌感染症.胃と腸 43 : 1613-1620, 2008
3)堀木紀行,丸山正隆,藤田善幸,他.感染性腸炎のCT 検査所見.日消誌 99 : 925-934, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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