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特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔腸〕
腸管スピロヘータ症(intestinal spirochetosis)
著者: 岩下明德1 田邉寛1
所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理部
ページ範囲:P.797 - P.797
文献購入ページに移動スピロヘータ(spirochetes)は病理組織学的に大腸上皮表面に好塩基性で毛羽立ち状に付着した特徴ある菌塊として観察され(Fig. 1),そのままでは病原性を発揮しない.最近の多数例の集積・検討結果3)4)から,その多くは大腸腺腫や過形成性ポリープなどに偶然存在が確認され,臨床的,また病理組織学的に明らかな症状や炎症所見を呈さない例,つまり保菌者であろうと考えられている.換言すると腸管スピロヘータ症を臨床的,内視鏡的に診断することはほとんど不可能に近く,病理組織学的にも見落とされる場合が多いので,その診断には注意深い丹念な検鏡が必要である.臨床的,病理組織学的に腸炎の所見がみられ,その原因がスピロヘータ以外特定できない症例も少数例あり,それらは本菌が病原性を発揮している本当の意味での感染症が疑われる.しかし,基本的にスピロヘータの感染のみで強い炎症像を呈することはほとんどないため,その際は他疾患の合併,特にアメーバ性腸炎などの合併を考慮し再評価する必要がある.
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