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特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔全消化管〕
消化管原発濾胞性リンパ腫(primary intestinal follicular lymphoma)
著者: 岩谷勇吾1
所属機関: 1信州大学医学部内科学第二講座
ページ範囲:P.810 - P.810
文献購入ページに移動 濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma;FL)は低悪性度B細胞性リンパ腫であり,従来そのほとんどはリンパ節性であると考えられていた.しかし,近年,検診などで十二指腸下行部の白色顆粒状病変として偶然発見される消化管原発FLの報告が増加してきており,2008年に出版されたWHO分類第4版1)においてもFLの1亜型としてprimary intestinal follicular lymphomaの項目が新たに設けられた.また,カプセル内視鏡やバルーン内視鏡の開発により,多くの症例で病変が空腸・回腸に併発することが明らかになった2).本邦の多施設による検討3)では,発生に性差はなく,無症状で偶然発見される症例が8割近くを占めている.
内視鏡所見の典型像は十二指腸下行部の白色顆粒状隆起の集簇所見である(Fig. 1a).空腸病変も十二指腸病変と同様に白色顆粒状隆起を呈することが多いが,輪状潰瘍や狭窄を呈する症例,腫瘤状隆起を形成する症例も存在する.一方,回腸病変では終末部に周囲健常粘膜と同色調の多発性隆起病変(Fig. 1b)として存在し,リンパ濾胞過形成と肉眼的には鑑別が困難であることが多く4),生検診断が必須である.FDG-PET(18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography)では集積を認めないことが多い.
内視鏡所見の典型像は十二指腸下行部の白色顆粒状隆起の集簇所見である(Fig. 1a).空腸病変も十二指腸病変と同様に白色顆粒状隆起を呈することが多いが,輪状潰瘍や狭窄を呈する症例,腫瘤状隆起を形成する症例も存在する.一方,回腸病変では終末部に周囲健常粘膜と同色調の多発性隆起病変(Fig. 1b)として存在し,リンパ濾胞過形成と肉眼的には鑑別が困難であることが多く4),生検診断が必須である.FDG-PET(18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography)では集積を認めないことが多い.
参考文献
1)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al(eds). WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues. IARC Press, Lyon, 2008
2)Akamatsu T, Kaneko Y, Ota H, et al. Usefullness of double balloon enteroscopy and video capsule endoscopy for the diagnosis and management of primary follicular lymphoma of the gastrointestinal tract in its early stages. Digest Endosc 22 : 33-38, 2010
3)Takata K, Okada H, Ohmiya N, et al. Primary gastrointestinal follicular lymphoma involving the duodenal second portion is a distinct entity : A multicenter, retrospective analysis in Japan. Cancer Sci 102 : 1532-1536, 2011
4)金子靖典,赤松泰次,北原桂,他.消化管follicular lymphomaの特徴 : 臨床的立場から─内視鏡を中心に.胃と腸 43 : 1059-1066, 2008
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