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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔全消化管〕

Dieulafoy潰瘍(Dieulafoy's ulcer)

著者: 小澤俊文1

所属機関: 1佐藤病院消化器内科

ページ範囲:P.813 - P.813

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 Dieulafoy潰瘍は,1898年にフランスのDieulafoyが初めて論文報告した潰瘍で,硬貨大の浅い潰瘍から大量の吐血を来し失血死するとした.臨床的には明確な定義はない1)が,潰瘍の既往のない人が心窩部痛や吐き気,食欲不振などの前駆症状なしに突然,大量の吐・下血で発症することが多い.内視鏡的には数壁集中や浮腫性周堤を伴わないごく小さな潰瘍の中心部に太い露出血管が観察される.

 血管破綻の原因として,粘膜下層の細血管の走行異常,拡張,微小動脈瘤,動静脈奇形などの諸説があるが,病理学的には胃の浅い小型の潰瘍で,粘膜下層に存在する太く蛇行する“走行異常”する血管が潰瘍底に存在することで破綻し大量出血すると考える研究者が多い.UL-IIまでの浅い潰瘍で,破綻動脈の最大径は350~2,000μmであるが1,000μm以上の報告が多い2).胃体部に発生することが多いが,直腸などでも報告されている3).発生頻度は0.3~6.8%で,男女比は3~6 : 1と男性に多いとされる.

参考文献

1)並木正義.Dieulafoy潰瘍の概念と病態をめぐって.胃と腸 22 : 1109-1112, 1987
2)岩渕三哉,渡辺英伸,石原法子,他.病理からみた胃のDieulafoy潰瘍.胃と腸 22 : 1113-1124, 1987
3)小玉尚宏,阿部孝,宇田創,他.直腸Dieulafoy潰瘍の成因と内視鏡治療.潰瘍 34 : 118-121, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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