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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 疾患〔全消化管〕

血管炎症候群

著者: 中川義仁1 平田一郎1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化管内科

ページ範囲:P.819 - P.820

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 血管炎とは全身の様々な血管壁に炎症を来す病変で,血管炎を主病変とする原発性血管炎と,他疾患に血管炎を伴う二次性血管炎がある1).このうち,原発性血管炎による症候群を血管炎症候群と呼ぶ1).Chapel Hill Consensus Confererence(CHCC)で,障害を受ける血管の太さと抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody;ANCA)の有無で10疾患〔大型血管炎として側頭動脈炎,高安動脈炎,中型血管炎として結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa;PN),川崎病,細小血管炎としてWegener肉芽症,Churg-Strauss症候群,顕微鏡的多発動脈炎,Schönlein-Henoch紫斑病,本態性クリオグロブリン症,白血球破砕性血管炎〕が分類された1).このうち,PN・顕微鏡的多発動脈炎,Churg-Strauss症候群,Schönlein-Henoch紫斑病が高頻度に消化管病変を伴う2)3)

 これらの疾患に共通する消化管病変の特徴は血管炎に起因する多発性のびらんや潰瘍で,時に穿孔を来す症例もみられる2)3).診断には患者の病歴や症状・臨床データとともに生検所見が極めて重要である2)3)

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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