icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 病理

adenoma-carcinoma sequence

著者: 味岡洋一1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野

ページ範囲:P.827 - P.827

文献購入ページに移動
 大腸の良性腫瘍である“腺腫”の中に起きる発癌機転を,ACS(adenoma-carcinoma sequence)という.1970年代にMorson1),Mutoら2)により体系化された.ACSの直接的証拠としては,腺腫内癌(腺腫の一部に癌巣が認められること)の存在がある(Fig. 1).絨毛・絨毛管状腺腫,異型度の高い腺腫,大きい腺腫ほど癌化率が高いとされる.

 ACSは,当初は2cm以上のポリープ型腺腫に起きると考えられておりpolyp-cancer sequenceとも表現されてきたが,後に1cm前後の小さな腺腫や平坦な腺腫(flat adenoma)でもACSが存在することが示されるようになった.筆者らのデータでは,腺腫の癌化率は5mm以下で1.8%,5~10mmで9.1%,10~20mmで32.9%,20mm以上では67.8%である.

参考文献

1)Morson BC. Precancerous and early malignant lesions of the large intestine. Br J Surg 55 : 725-731, 1968
2)Muto T, Bussey HJR, Morson BC. The evolution of cancer of the colon and rectum. Cancer 36 : 2251-2270, 1975
3)Vogelstein B, Fearon ER, Stanley BA, et al. Genetic alterations during colorectal-tumor development. N Engl J Med 319 : 525-532, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?