文献詳細
特集 図説 胃と腸用語集2012
病理
異形成,上皮内腫瘍(dysplasia, intraepithelial neoplasia)
著者: 大倉康男1
所属機関: 1杏林大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.829 - P.829
文献概要
これまでのWHOの腫瘍分類では,食道と胃でepithelial abnormalities(precancerous)としてdysplasiaが示されている.欧米では上皮下組織への浸潤像をもって癌と診断する立場であり,上皮内癌との異同が明確ではない.日本においては,胃では良悪性境界病変や陥凹型腺腫を表す用語として用いられていたが,それらが良性上皮性腫瘍であることが明らかにされて腺腫(adenoma)という用語に統一されたことから,現在は用いられていない.「胃癌取扱い規約」ならびに「大腸癌取扱い規約」に異形成の記載はない.一方,食道では,「食道癌取扱い規約第8版」1)に異形成の定義が示されている.すなわち,「細胞異型および構造異型を示す上皮内病変であり,上皮内癌と診断するには異型度が十分でない病変」とされている.その中には,炎症性異型,質的診断が難しい異型,癌を疑う異型などが含まれ,研究者の用い方が異なっていた.
参考文献
掲載誌情報