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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 病理

偽浸潤(pseudoinvasion)

著者: 岩下明德1 太田敦子1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院病理部

ページ範囲:P.830 - P.830

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 偽浸潤とは,大腸上皮性腫瘍の病理組織学的診断において,腺腫組織が粘膜固有層(付随間質)を伴って粘膜下層に逸脱している現象のことをいう(Fig. 1).粘膜下層への腺管の出現は,炎症性腸疾患,粘膜脱症候群,過形成性ポリープ,Peutz-Jeghersポリープなどでも時にみられるが,これらの場合の腺管は腫瘍性異型のない上皮から成り,むしろ異所性(heterotopia)とも言うべき現象で,大腸腺腫における偽浸潤とは区別される.

 この偽浸潤は“pseudocarcinomatous invasion”として発表され,ほかに“epithelial misplacement”,“pseudocarcinoma”,“pseudoinvasion”などとも呼ばれる.S状結腸に好発し1~2cmの有茎性腺腫に多くみられるとされ,また,mechanical forceによって粘膜筋板の間隙から腺腫組織が粘膜下層へ逸脱することがこの現象の本態であると考えられている1)

参考文献

1)Muto T, Bussey HJR, Morson BC. Pseudocarcinomatous invasion in adenomatous invasion in adenomatous polyps of the colon and rectum. J Clin Pathol 26 : 25-31, 1973
2)岩下明徳.偽浸潤(pseudoinvasion)─私の考え方と真の浸潤との鑑別点において.胃と腸 29 : 1126-1127, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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