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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 病理

簇出(tumor budding/sprouting)

著者: 上野秀樹1 長谷和生1

所属機関: 1防衛医科大学校外科学講座

ページ範囲:P.833 - P.833

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 簇出(budding)は大腸癌において,癌細胞が個々に,あるいは小胞巣を形成しつつ散在性に間質内に浸潤する組織所見であり(Fig. 1),固形癌の浸潤の重要なprocessの1つである,de-differentiationとdissociationの形態学的表現と位置づけることも可能である.分化型腺癌の腫瘍表層や中心部間質に出現することはまれであり,基本的に浸潤先進部に出現する.

 簇出は1980年代以降,治療方針決定のための指標として,まず本邦の臨床家により注目された病理組織所見である1)2).近年になり本邦のみならず欧米でもその意義が認識されるに至ったが,その過程には名称に起因する概念上の混乱が存在した.

参考文献

1)諸富立寿.進行直腸癌における臨床病理学的研究─術前生検材料からみたリンパ節転移程度の予測.日外会誌 89 : 352-364, 1988
2)Hase K, Shatney C, Johnson D, et al. Prognostic value of tumor“budding”in patients with colorectal cancer. Dis Colon Rectum 36 : 627-635, 1993
3)今井環.人体癌腫発育状況の形態学的考察.福岡医誌 45 : 72-102, 1954
4)Ueno H, Murphy J, Jass J, et al. Tumour‘budding'as an index to estimate the potential of aggressiveness in rectal cancer. Histopathology 40 : 127-132, 2002
5)Ueno H, Mochizuki H, Hashiguchi Y, et al. Risk factors for an adverse outcome in early invasive colorectal carcinoma. Gastroenterol 127 : 385-394, 2004
6)Bosman FT, Carneiro F, Hruban RH, et al(eds). WHO Classification of Tumors of the Digestive System. IARC Press, Lyon, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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