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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 病理

手つなぎ型腺管癌(gastric cancer of “hand-shaking”type)

著者: 海崎泰治1

所属機関: 1福井県立病院臨床病理科

ページ範囲:P.834 - P.834

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 “手つなぎ型腺管癌”とは,胃癌の組織像において,細胞異型が弱く,腫瘍腺管同士があたかも手をつなぐように不規則に分岐・融合しながら,粘膜の中間層を中心に広く進展する癌のことを示す(Fig. 1).この組織像は低異型度分化型胃癌に属し,組織学的に癌と診断することが難しく,特に生検組織のような限られた標本の観察では診断に至らない可能性があり,注意が必要な病変である.

 このような組織像は,半世紀近く前からすでに太田,中村らによって,“XYH状腺管”として注意すべき構造異型の表現形として報告されていた.加藤1)はこの所見を“手つなぎ型腺管癌”と称したが,さらにはこの特異的な構造異型を“WHYX lesion”とも述べている.他の呼称としては,2002年の伴ら2)による“irregularly fused(anastomosing)glands”,2003年の滝澤3)による“横這型胃癌”があるが,上記のものと同義で特徴的な組織像を種々の表現で示したものと考えられる.

参考文献

1)加藤洋.生検の功罪─病理の立場から.消内視鏡 18 : 1815-1827, 2006
2)伴慎一,清水道生.知っていると役立つ外科病理の診断クルー─irregularly fused glands(WHYX lesion)in gastric biopsy : adenocarcinoma.病理と臨 20 : 308-309, 2002
3)滝澤登一郎.胃の病理形態学.医学書院,pp 168-172,2003
4)河内洋,岡本直子,吉田達也,他.“横這型胃癌”の臨床病理学的特徴.胃と腸 45 : 1203-1211, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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