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特集 図説 胃と腸用語集2012 病理
大腸の低異型度癌と超高分化腺癌〔low grade/extremely(very)well differentiated adenocarcinoma of large intestine〕
著者: 味岡洋一1
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野
ページ範囲:P.836 - P.836
文献購入ページに移動 病理総論的に腫瘍は,その発生母地である正常組織との組織学的類似性(組織学的分化,differentiation)の度合いから,高分化・中分化・低分化・未分化に分類される(分化度が高いほど,正常組織に類似する).一方,組織学的類似性とは逆に,正常組織からの組織学的乖離の度合いを表す用語として異型度(atypia)があり,乖離の程度が低いものは低異型度,高いものは高異型度と呼ばれる.分化度,異型度ともに腫瘍の細胞像(細胞分化度,細胞異型度),組織構築像(構造分化度,構造異型度)の両者に用いられうるが,胃・大腸の上皮性腫瘍は主に構造分化度から,高分化腫瘍(腺腫,乳頭腺癌,管状腺癌 : 高分化),中分化腫瘍(管状腺癌 : 中分化),低分化腫瘍(管状腺癌 : 低分化)に分類されている.
高分化腫瘍は,主にその細胞異型度から良悪性の鑑別がなされるが,細胞異型度が低く癌とは診断できないものでも,粘膜下層以深に浸潤を来しているものがある(粘液癌,粘液産生が豊富な乳頭腺癌,痔瘻癌など).こうした癌が一般的には,超高分化腺癌と呼ばれる.超高分化腺癌は“浸潤”または“転移”という腫瘍の生物学的態度をもとに下される診断用語であり,その組織診断基準が確立されているわけではない.他方,低異型度癌は超高分化腺癌の同義語として用いられる場合もあるが,超高分化腺癌とは異なり,渡辺ら1)により組織診断基準が提示されている.
高分化腫瘍は,主にその細胞異型度から良悪性の鑑別がなされるが,細胞異型度が低く癌とは診断できないものでも,粘膜下層以深に浸潤を来しているものがある(粘液癌,粘液産生が豊富な乳頭腺癌,痔瘻癌など).こうした癌が一般的には,超高分化腺癌と呼ばれる.超高分化腺癌は“浸潤”または“転移”という腫瘍の生物学的態度をもとに下される診断用語であり,その組織診断基準が確立されているわけではない.他方,低異型度癌は超高分化腺癌の同義語として用いられる場合もあるが,超高分化腺癌とは異なり,渡辺ら1)により組織診断基準が提示されている.
参考文献
1)渡辺英伸,味岡洋一.大腸良悪性境界病変の病理.病理と臨 6 : 1280-1292, 1988
2)片桐耕吾,渡辺英伸,味岡洋一,他.高分化型進行大腸癌の高・低異型度による生物学的悪性度の差について.胃と腸 29 : 841-849, 1994
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