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特集 図説 胃と腸用語集2012 病理
内分泌細胞微小胞巣(endocrine cell micronest)
著者: 西倉健1
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野
ページ範囲:P.839 - P.840
文献購入ページに移動 概念 胃の内分泌細胞微小胞巣(endocrine cell micronest;ECM)は,粘膜内の内分泌細胞が腺管外に集合体を形成したもので,大きさは50μm程度(48.5±14.1μm,自験例ECM 3,057例の平均)で,卵円形から円形ないし索状形態を呈し,萎縮胃底腺領域の粘膜深部に観察されやすい(Fig. 1).自己免疫性胃炎(いわゆるA型胃炎)や高ガストリン血症に伴って高頻度に観察される.通常,消化管クロム親和性細胞様細胞(enterochromaffin-like cells;ECL細胞)と呼ばれる内分泌細胞群から構成される.
内分泌細胞微小胞巣の組織発生 ECMの組織発生については以下のように考えられている.すなわち,(1) 胃底腺萎縮などによる胃酸分泌低下,(2) 低胃酸に対するフィードバックによるガストリン値上昇,(3) ガストリンの内分泌細胞に対するトロフィック作用の持続,(4) 腺管内の内分泌細胞過形成および集簇,(5) 内分泌細胞の腺管外への芽出および腺管自体の萎縮,(6) 腺管外にECMの完成,の経路が想定されている(Fig. 2)1)2).
内分泌細胞微小胞巣の組織発生 ECMの組織発生については以下のように考えられている.すなわち,(1) 胃底腺萎縮などによる胃酸分泌低下,(2) 低胃酸に対するフィードバックによるガストリン値上昇,(3) ガストリンの内分泌細胞に対するトロフィック作用の持続,(4) 腺管内の内分泌細胞過形成および集簇,(5) 内分泌細胞の腺管外への芽出および腺管自体の萎縮,(6) 腺管外にECMの完成,の経路が想定されている(Fig. 2)1)2).
参考文献
1)Itsuno M, Watanabe H, Iwafuchi M, et al. Multiple carcinoids and endocrine cell micronests in type A gastritis. Their morphology, histogenesis, and natural history. Cancer 63 : 881-890, 1989
2)西倉健,渡辺英伸,岩渕三哉,他.胃カルチノイドの分類の変遷.胃と腸 35 : 1349-1354, 2000
3)Bosman FT, Carneiro F, Hruban RH, et al. WHO classification of tumours of the digestive system, 4th ed. IARC Press, Lyon, 2010
4)Iwai K, Yao T, Nakamura S, et al. Multiple gastric carcinoids and endocrine cell micronests in type A gastritis : Nuclear morphometric and immunohistochemical analysis. Oncol Rep 13 : 397-404, 2005
5)Nishikura K, Watanabe H, Iwafuchi M, et al. Carcinogenesis of gastric endocrine cell carcinoma : Analysis of histopathology and p53 gene alteration. Gastric Cancer 6 : 203-209, 2003
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