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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 病理

サイトケラチン(cytokeratin;CK)

著者: 諸橋聡子1 鬼島宏1

所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科病理生命科学講座

ページ範囲:P.841 - P.842

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 サイトケラチン(cytokeratin;CK)は,上皮細胞の細胞骨格を形成する中間フィラメントの1つで,その種類は約20種類に及ぶ1).中間フィラメントの分子構造は組織特異的であり,病理診断の免疫組織化学検査で頻用されている.vimentinは間葉由来の細胞とある種の神経外胚葉由来の細胞,desminは筋細胞,GFAPはニューログリア細胞の中間フィラメントである.

 サイトケラチンは,等電点によって酸性ケラチン(Type Iケラチン)と塩基性ケラチン(Type IIケラチン)に分けられ,両者はそれぞれ2本ずつのケラチン線維が4量体を形成した形で発現する.分子量による分類では,低分子ケラチン(40~64kD : CK7,8,17~20)と高分子ケラチン(48~67kD : CK1~6,9~16)に分けられる2)~4)(Table 1).皮膚の角化型扁平上皮で発現するCKの分子量が最も大きく,角膜や粘膜の非角化型扁平上皮が続き,腺上皮や重層扁平上皮の基底細胞は低分子ケラチンが主体を成す.

参考文献

1)Dabbs D. Diagnostic Immunohistochemistory, 2nd ed. Churchill Livingstone, Philadelphia, 2006
2)泉美貴.各腫瘍におけるcytokeratinの発現と鑑別診断への応用.病理と臨 20 : 673-678, 2002
3)泉美貴.病理診断に役立つ免疫組織化学の新しいマーカー─総論.診断病理 24 : 1-12, 2007
4)泉美貴.知っておきたい検査とその読み方─細胞・組織検査 : 酵素抗体法─上皮系腫瘍.皮膚臨床 48 : 1417-1423, 2006
5)泉美貴.サイトケラチンのタイプについて.病理と臨(臨増) 25 : 310-319, 2007
6)Chu P, Wu E, Weiss LM. Cytokeratin 7 and cytokeratin 20 expression in epithelial neoplasms : a survey of 435 cases. Mod Pathol 13 : 962-972, 2000
7)Wang NP, Zee S, Zarbo RJ, et al. Coordinate expression of cytokeratins 7 and 20 difines unique subsets of carcinomas. Apppl Immunohistochem 3 : 99-107, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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