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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 治療

腫瘍の分子標的薬(molecular targeted therapy of the tumor)

著者: 落合淳志1

所属機関: 1国立がん研究センター東病院臨床開発センター臨床腫瘍病理部

ページ範囲:P.874 - P.874

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 従来の抗癌剤は,多くの癌細胞の特性である高い増殖性や細胞分裂を阻害する薬剤として開発されてきた.一方,分子標的薬とは,癌細胞や癌組織における特徴的分子および増殖・進展にかかわる分子機構を標的として開発された薬剤といえる.従来は,治療効果が高く,副作用は低いと考えられていたが,症例により様々であることが明らかになった.

 現在までに消化器腫瘍にかかわらず様々な“癌”において分子標的薬が実臨床に用いられている1).Table 1に現在認可されている消化管悪性腫瘍における分子標的薬と,分子標的薬対象症例の選択法を示す.消化管悪性腫瘍に関する分子標的薬としては,GIST(gastrointestinal stromal tumor)が,チロシンキナーゼ受容体であるc-kit遺伝子変異により発生することが明らかになり,このc-kitに対する阻害薬であるグリベックが分子標的薬として使用されてきた.現在では,大腸癌に対してはEGFR(epidermal growth factor receptor)2)や腫瘍血管新生阻害薬〔抗VEGF(vascular endothelial growth factor)抗体〕などが用いられており,胃癌で高発現するc-erbB2(HER2)に対する治療抗体が使われており,分子標的薬は消化器悪性腫瘍の必須の治療薬となってきている.

参考文献

1)落合淳志.分子病理診断と個別化治療─薬剤感受性の病理診断.医のあゆみ 229 : 1014-1018, 2009
2)落合淳志,長村義之.EGFR検査に関するコンセンサスミーティング─セツキシマブ治療におけるEGFR検査の現状とポイント.大腸癌Frontier 2 : 79-84, 2009
3)落合淳志.分子標的発現評価の標準化の重要性─胃癌HER2検査とK-RAS遺伝子変異検査.癌と化療 38 : 709-714, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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