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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻5号

2012年05月発行

文献概要

特集 図説 胃と腸用語集2012 治療

内視鏡的バルーン拡張術(endoscopic balloon dilation;EBD)

著者: 平井郁仁1

所属機関: 1福岡大学筑紫病院消化器内科

ページ範囲:P.884 - P.884

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 内視鏡的バルーン拡張術(endoscopic balloon dilation;EBD)は消化管狭窄の解除法として広く普及している内視鏡治療である.消化管狭窄の原因は,悪性疾患,炎症性疾患,術後癒着,内視鏡治療後など多岐にわたる.EBDは,低侵襲性で比較的簡便かつ安全な治療法であり,原因にかかわらず適応となることが多い.良性疾患に対するEBDは (1) 狭窄に基づく経口摂取障害,(2) 術後狭窄に伴う縫合不全合併例,(3) 下部消化管閉塞によるイレウスないし亜イレウス,(4) 炎症性腸疾患の治療後進行した瘢痕による高度狭窄などが適応となる.しかし,5cmを超えるような長い狭窄や高度の屈曲,活動性の炎症や潰瘍性病変を合併する狭窄は適応外である1)

 上部消化管では,食道,胃の進行癌,アカラシア,良性潰瘍による幽門狭窄,内視鏡的粘膜下層剝離術後の瘢痕狭窄およびCrohn病の幽門,十二指腸狭窄などに対して行われることが多い.下部消化管においては大腸癌,術後吻合部狭窄,Crohn病,虚血性大腸炎(狭窄型),NSAID(nonsteroidal anti-inflammatory drug)起因性腸炎,腸結核などが対象となる.拡張用のバルーンにはOTW(over-the-wire)バルーンとTTS(through-the-scope)バルーンがあるが,手技が簡便であり,最近では大径のものもあるためTTSバルーンが汎用されている.EBDは,狭窄部観察→ガストログラフィン®での造影→バルーン挿入→バルーン拡張→狭窄部観察(scope通過の有無確認)の手順で行う.主な合併症としては,出血と穿孔がある.出血は保存的にコントロール可能なことが多いが,穿孔時にはほとんどが外科的治療を要する.

参考文献

1)松井敏幸,嶋尾仁,斉田芳久.消化管狭窄に対する拡張術とステント療法ガイドライン.日本消化器内視鏡卒後教育委員会(編).消化器内視鏡ガイドライン第3版.医学書院,pp 234-246,2006
2)Hirai F, Beppu T, Sou S, et al. Endoscopic balloon dilatation using double-balloon endoscopy is a useful and safe treatment for small intestinal strictures in Crohn's disease. Dig Endosc 22 : 200-201, 2010
3)平井郁仁,松井敏幸.Crohn病以外(NSAIDsなど)の小腸良性狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術.消内視鏡 19 : 1571-1575, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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