文献詳細
今月の主題 経鼻内視鏡によるスクリーニング
序説
文献概要
「胃と腸」誌の主題に経鼻内視鏡を取り上げることは今回が初めてである.経鼻内視鏡は大学病院やがんセンターなどの施設で用いられることが少なく,日常臨床で経鼻スコープに触れる本誌編集委員も少ない.他方,健診センターや実地医家の使用は増加しており,前橋市胃がん内視鏡住民検診1)では32%が経鼻内視鏡で実施されていた.経鼻内視鏡に関しては前処置の工夫や経鼻ルートでの挿入方法に論議が集中し,消化管の観察方法や診断能に関しての報告は散発的であった.この結果,検査医,施設や地域の間で差が大きく,一部のエキスパートを除いてレベルの低い経鼻内視鏡画像しか得られていない.
ルーチン検査,スクリーニング検査といった出自の異なる言葉が用いられる.両者ともに病巣が発見された後に性状診断を目的に実施される精密検査に対応した用語である.胃病巣の拾い上げを目的として,標準的な手法で実施する初回検査は1970年代までX線検査が主体であった.
ルーチン検査,スクリーニング検査といった出自の異なる言葉が用いられる.両者ともに病巣が発見された後に性状診断を目的に実施される精密検査に対応した用語である.胃病巣の拾い上げを目的として,標準的な手法で実施する初回検査は1970年代までX線検査が主体であった.
参考文献
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