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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻6号

2012年05月発行

文献概要

今月の主題 経鼻内視鏡によるスクリーニング 主題症例

経鼻内視鏡による生検が偽陰性であった早期胃癌の1例

著者: 岡田和弘1 佐藤広隆1 細川治2 真田治人3 柳本邦雄4 齊藤ゆにば1 遠藤智広1 中田智大1

所属機関: 1横浜栄共済病院消化器内科 2横浜栄共済病院外科 3横浜栄共済病院内科 4横浜栄共済病院病理

ページ範囲:P.1004 - P.1009

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要旨 患者は70歳代,男性.健診での経鼻内視鏡検査で早期胃癌と観察診断すべき病変を見い出したが,生検ではGroup 1であり悪性細胞は得られなかった.直ちに経口内視鏡で再生検を行い高分化管状腺癌と診断されたため,ESD(内視鏡的粘膜下層剝離術)を施行した.切除標本の病理学的所見ではgastric adenocarcinoma,pType0-IIc,20×10mm,tub1,pT1a(M),ly0,v0,HM0,VM0,UL(-),であった.経鼻内視鏡検査は生検操作に難渋することがあるため画像所見がいっそう重要であり,想定される生検組織診断が得られなかった場合には,時間を置かず経口内視鏡での再検査を実施すべきであると考えられた.

参考文献

1)Yagi J, Adachi K, Arima N, et al. A prospective randomized comparative study on safety and tolerability of transnasal esophagogastroduodenoscopy. Endoscopy 37 : 1226-1231, 2005
2)林 亨,鳥巣隆資,野村昌弘,他.施設検診への経鼻内視鏡検査の導入(検査時の循環動態の検討).日消がん検診誌 45 : 412-420, 2007
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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