icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻7号

2012年06月発行

文献概要

私の一冊

「cap polyposisと粘膜脱症候群」 37巻5号(2002年)

著者: 赤松泰次1

所属機関: 1独立行政法人長野県立病院機構長野県立須坂病院内視鏡センター

ページ範囲:P.1126 - P.1126

文献購入ページに移動
 この特集号は筆者が「胃と腸」編集委員になって初めて,八尾恒良先生,渡辺英伸先生とともに企画案を作成した思い出深い1冊である.両巨頭といっしょに企画を立てるということで,緊張した面持ちで編集小委員会に臨んだことを今でも鮮明に覚えている.

 cap polyposisは英国のSt. Marks Hospitalの病理医であったWilliamsらが,1985年に発表した20行程度のAbstractがオリジナルとされている.その後しばらくこのAbstractはほとんど省みられることがなかったが,1993年に同じ施設のCampbellら1)が2例の臨床例をGutに報告し,続いて1994年にフランスのGéhénotら2)が同じくGutに1例報告したことによって,わが国でも注目されるようになった疾患である.筆者は1986年よりこれまでに,7例のcap polyposisを経験しているが,従来報告されてきた炎症性疾患には当てはまらず,新しい疾患単位の可能性が高いとして,「分類不能型大腸炎」という名前で繰り返し報告してきた.Williamsらの報告については当時知る由もなかったが,早期胃癌研究会で本疾患に相当する症例が提示され,筆者が「これまでわれわれが分類不能型大腸炎とし報告してきた画像所見に一致する症例である」とコメントしたところ,出題者がCampbellらの論文で「cap polyposis」という名称がつけられていることを紹介した.おそらくこの機会が,わが国においてcap polyposisという疾患名が知られるようになったきっかけと思われる.

参考文献

1)Campbell AP, Cobb CA, Chapman RW, et al. Cap polyposis─an unusual cause of diarrhoea. Gut 34 : 562-564, 1993
2)Géhénot M, Colombel JF, Wolschies E, et al. Cap polyposis occurring in the postoperative course of pelvic surgery. Gut 35 : 1670-1672, 1994
3)Oiya H, Okawa K, Aoki T, et al. Cap polyposis cured by Helicobacter pylori eradication therapy. J Gastroenterol 37 : 463-466, 2002
4)Akamatsu T, Nakamura N, Kawamura Y, et al. Possible relationship between Helicobacter pylori infection and cap polyposis of the colon. Helicobacter 9 : 651-656, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら