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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻9号

2012年08月発行

文献概要

今月の主題 食道癌の発育進展─初期浸潤の病態と診断 主題

微小癌あるいは小癌からの発育進展

著者: 門馬久美子1 藤原純子1 加藤剛2 了徳寺大郎2 三浦昭順2 出江洋介2 木村麻衣子3 剛崎有加3 比島恒和4 吉田操5

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 3がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 4がん・感染症センター都立駒込病院病理科 5早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.1393 - P.1409

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要旨 食道癌の初期像,および発育形態をみるため,2007年4月から2012年3月の5年間に,病巣発見から経過観察,内視鏡治療を行った異時性食道癌33例を対象に検討を行った.病変は,非拡大の白色光とNBI観察で拾い上げた.33例の内訳は,T1a-EP癌20例,T1a-LPM癌7例,T1a-MM癌3例,SM2以深癌3例であった.発見病巣の大きさが5mm以下で,6か月以上経過観察した23例の病型は,0-IIa 1例(4%),0-IIb 8例(35%),0-IIc 14例(61%)であり,0-IIbを食道癌の初期像と仮定すると,0-IIcや0-IIaへの分化は非常に早く,微小病変の時期から始まっていた.病変は,発見後1~2年で増大を始め,2~3年で倍増するようになるが,増大しても大きさが10mm以下の場合,80%以上は粘膜癌であり,粘膜癌の時期は少なくとも3年以上続くと推測された.病型の変化が確認できた7例は,0-IIbから0-IIcへ変化したT1a-EP癌3例,0-IIcから0-I+IIcへ変化したT1a-MM癌1例,0-IIbから0-IIc,0-IIc SM2に変化したSM2癌2例と,0-IIc LPMから0-IIc SM2へ変化したSM2癌1例であり,病型は0-IIbから0-IIc T1a-EPになり,T1a-LPMを経過し,0-IIcの形態のまま, T1a-MM/SM1あるいは,SM2へ進展した.検討例の内視鏡像から,(1)樹枝状・敷石状に拡がる病変,(2)表面に白色調の付着物を有する病変,(3)粘膜下に拡がる病変は,増大が早く,早期に浸潤する傾向があり,注意が必要な病変であった.

参考文献

1)門馬久美子,吉田操,藤原純子,他.これからの食道早期癌拾い上げ診断─NBIの立場から.胃と腸 41 : 151-164, 2006
2)Muto M, Saito Y, Ohmori T, et al. Multicenter prospective randomized controlled study on the detection and diagnosis of superficial squamous cell carcinoma by back-to-back endoscopic examination of narrow band imaging and white light observation. Gastrointest Endosc 65 : AB110, 2007
3)高橋亜紀子,小山恒男,友利彰寿,他.NBIによる食道小扁平上皮癌の存在診断.胃と腸 44 : 1668-1674, 2009
4)吉田操,門馬久美子,葉梨智子,他.発育進展からみた食道粘膜下層癌の病型分類の問題点.胃と腸 35 : 547-556, 2000
5)門馬久美子,藤原純子,江頭秀人,他.食道小扁平上皮癌の深達度診断─内視鏡診断.胃と腸 44 : 1697-1712, 2009
6)幕内博康,島田英雄,千野修,他.食道癌の初期病巣と発育進展─内視鏡の立場から.胃と腸 35 : 527-539, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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