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文献詳細

雑誌文献

胃と腸47巻9号

2012年08月発行

文献概要

今月の主題 食道癌の発育進展─初期浸潤の病態と診断 主題研究

まだら食道を背景とした食道癌の初期浸潤所見

著者: 長井健悟1 石原立1 松井芙美1 山階武1 太田高志1 神崎洋光1 花房正雄1 鼻岡昇1 山本幸子1 竹内洋司1 東野晃治1 上堂文也1 飯石浩康1 冨田裕彦2 石黒信吾3

所属機関: 1大阪府立成人病センター消化管内科 2大阪府立成人病センター病理細胞診断科 3ピーシーエルジャパン病理・細胞診センター

ページ範囲:P.1419 - P.1426

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要旨 食道内にヨード不染部が多発するまだら食道には,食道癌が多発しやすいことが知られている.筆者らはまだら食道に対する定期的な食道癌のサーベイランス中に初めて癌と診断できるようになった粘膜固有層浸潤癌を初期浸潤癌として検討を行った.通常内視鏡観察で初期浸潤癌は0-IIb型もしくは極めてわずかに陥凹した0-IIc型を示し,上皮内癌と鑑別するのは困難であった.一方,NBIで観察すると初期浸潤癌には“延長したループ状血管”が7/12病変,“ループ状血管に囲まれた小さなAVA様所見”が5/12病変にみられ,上皮内癌に比べ高率であったため,初期浸潤癌に特徴的な所見と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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