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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻1号

2013年01月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍合併早期胃癌の診断と治療 主題

ESD標本における消化性潰瘍と生検瘢痕との鑑別

著者: 下田忠和1 九嶋亮治2 小野裕之3

所属機関: 1国立がん研究センターがん対策情報センター 2国立がん研究センター中央病院病理科 3静岡県立静岡がんセンター内視鏡部

ページ範囲:P.16 - P.24

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要旨 早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除(EMR)や粘膜下層剝離術(ESD)が一般的に行われるに従って,胃癌治療ガイドラインでの標準治療から,さらに適応拡大切除が盛んに行われるようになってきた.これらはいずれもリンパ節転移危険因子の1つとして,癌巣内の消化性潰瘍併存が挙げられている.したがって,切除検体における消化性潰瘍有無の判定は極めて重要となっている.しかし,潰瘍瘢痕,特にUL-II scarと術前の生検瘢痕との区別が困難な場合もある.生検瘢痕のほとんどは,極めて限局した粘膜筋板と粘膜下層の変化であるのに対し,潰瘍瘢痕では,粘膜筋板の範囲を超えた線維化が粘膜下層全層にわたって認める.それでも,粘膜下層がわずかしか切除されない例では両者の区別が困難である.

参考文献

1)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン医師用,3版.金原出版,2010
2)Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al. Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer : estimation with a large number of cases at two large centers. Gastric Cancer 3 : 219-225, 2000
3)滝沢耕平,下田忠和,中西幸浩,他.早期胃癌に対する内視鏡的切除の適応拡大─未分化型腺癌について.胃と腸 41 : 9-17,2006
4)Hanaoka N, Tanabe S, Mikami T, et al. Mixed-histologic-type submucosal invasive gastric cancer as a risk factor for lymph node metastasis : feasibility of endoscopic submucosal dissection. Endoscopy 41 : 427-432, 2009
5)Hirasawa T, Gotoda T, Miyata S, et al. Incidence of lymph node metastasis and the feasibility of endoscopic resection for undifferentiated-type early gastric cancer. Gastric Cancer 12 : 148-152, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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