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今月の主題 潰瘍合併早期胃癌の診断と治療 主題
潰瘍瘢痕合併早期胃癌ESDのコツと治療の限界
著者: 高橋亜紀子1 小山恒男1
所属機関: 1佐久総合病院胃腸科
ページ範囲:P.63 - P.71
文献購入ページに移動要旨 潰瘍瘢痕合併例のESDでは,瘢痕の位置と程度により,ストラテジーが異なる.2004年1月~2012年3月までに早期胃癌に対してESDを施行した1,489症例のうち,潰瘍瘢痕合併165症例を対象として検討した.剝離時に病変を損傷せずに一括切除された完全切除群(n=143)と,剝離時に粘膜下層側から病変を損傷したり,分割切除となった不完全切除群(n=22)の2群に分けて検討した.不完全切除群は小彎19%(17/91),小彎以外7%(5/74)と小彎側に有意に多かった.また腫瘍径3.1cm以上の適応外病変では不完全切除群が29%(10/34),3.0cm以下の適応拡大病変では9%(12/131)と適応外病変で有意に多かった.腫瘍径3cm以下で不完全切除となった12例中8例はU・M領域の小彎に存在しており,U,M,小彎の潰瘍合併症例に対する治療成績向上が残された課題と考えられた.
参考文献
1)胃ESDの実際─安全・確実な手技のポイント 16.胃ESD困難例の克服─2.瘢痕.小山恒男(編).食道・胃ESDの基本手技─コツとピットフォール,適応の決め手.pp 213-214,メジカルビュー社,2007
2)Nagata S, Jin YF, Tomoeda M, et al. Influential factors in procedure time of endoscopic submucosal dissection for gastric cancer with fibrotic change. Dig Endosc 23 : 296-301, 2011
3)Goto O, Fujishiro M, Kodashima S, et al. Is it possible to predict the procedural time of endoscopic submucosal dissection for early gastric cancer ? J Gastroenterol Hepatol 24 : 379-383, 2009
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