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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻1号

2013年01月発行

文献概要

今月の主題 潰瘍合併早期胃癌の診断と治療 主題研究

内視鏡的UL(+)早期胃癌と病理学的UL(+)早期胃癌の臨床病理学的差異

著者: 藤崎順子1 山本頼正1 山本智理子2 清水智弘1 吉澤奈津子1 堀内裕介1 松尾康正1 石川寛高1 菅沼孝紀1 大前雅実1 平澤俊明1 横山知子3 石山晃世志1 土田知宏1 五十嵐正広1

所属機関: 1がん研有明病院消化器内科 2がん研究所病理部 3富士フィルム健康管理センター

ページ範囲:P.73 - P.81

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要旨 2005年3月~2011年4月の間,当院でESDが施行された早期胃癌1,504例中,病理学的にUL(+)と診断された217例を対象とし,内視鏡的UL(+)と病理学的UL(+)の臨床病理学的差異について検討を行った.UL(+)例ではガイドライン内病変に比し,陥凹型が多く,深達度SMの頻度が高かった.また,治癒切除率が低かった.病理学的UL(+)適応拡大病変については,胃癌死,再発は認めなかった.IIIs症例は11例あり,4例が経過観察されているが再発は認めていない.病理学的UL(+)の正診率は125/217(57.6%)であった.誤診の頻度が高かった部位は,胃角大彎,前庭部大彎であった.また,内視鏡的にUL(+)と診断されたが病理でUL(-)症例は34例あり,最も多い部位はM領域後壁であった.34例は,いずれも何らかの線維化が粘膜下層に確認され,病理では生検痕と診断された.

参考文献

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2)日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン医師用,3版 金原出版,2010
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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