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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻1号

2013年01月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

経過観察中に増大傾向を認めた胃炎症性類線維ポリープの1例

著者: 西出憲史12 滝沢耕平2 小野裕之2 黄勇澤2 澤井寛明2 今井健一郎2 田中雅樹2 角嶋直美2 松林宏行2 山口裕一郎2 大石琢磨3 下田忠和4

所属機関: 1国立病院機構四国がんセンター消化器内科 2静岡県立静岡がんセンター内視鏡科 3静岡県立静岡がんセンター病理診断科 4国立がん研究センターがん対策情報センター

ページ範囲:P.98 - P.105

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要旨 患者は50歳代,男性.検診の上部消化管造影検査で,胃前庭部に隆起性病変を指摘されたが,生検にて悪性所見が認められなかったために近医で経過観察となっていた.6年後,病変サイズの増大を認めたことから当院に紹介され受診となった.上部消化管内視鏡検査では,なだらかな立ち上がりを有し,表面は非腫瘍粘膜で被覆されたふたコブ様の隆起性病変を認めた.6年前と比較して病変サイズは約2倍に増大を認めた.生検では確定診断に至らず,診断目的にESDを施行した.切除後の病理組織標本から胃炎症性類線維ポリープ(IFP)と診断した.経過観察中に増大傾向を認め,非典型的な内視鏡像を呈していたことにより,術前診断が困難であったと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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