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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻11号

2013年10月発行

文献概要

今月の主題 組織混在型粘膜内胃癌の診断 主題

組織混在型早期胃癌のX線的特徴

著者: 入口陽介1 小田丈二1 水谷勝1 高柳聡1 冨野泰弘1 山里哲郎1 岸大輔1 大村秀俊1 板橋浩一1 中河原亜希子1 藤田直哉1 今村和広2 高西喜重郎2 山村彰彦3 細井董三1

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2都立多摩総合医療センター外科 3東京都がん検診センター検査科

ページ範囲:P.1581 - P.1595

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要旨 2008年4月~2013年3月までの5年間に,当センターで経験した早期胃癌617例683病変を組織型別に分類すると,分化型:354,組織混在型:186(分化型>未分化型:130,未分化型>分化型:56),未分化型:143であった.腫瘍径が21mm以上で組織混在率は高率となり,組織混在型の肉眼型は,陥凹型が92%を占めていたことから,陥凹型のX線造影像について,陥凹内部と辺縁境界の所見を組織像と対比して検討した.X線像の特徴は,優勢な組織像の肉眼型を示すことが多く,混在する組織の量や発育進展の相違によっても異なっていたが,純粋な分化型に比較して,分化型>未分化型では,辺縁隆起が目立たず,陥凹辺縁の形態は棘状を呈する病変は少なく,境界不明瞭であった.未分化型>分化型では,純粋な未分化型と比較して,陥凹面のバリウム斑は淡く,陥凹境界は不明瞭であった.分化型>未分化型,未分化型>分化型ともに,陥凹辺縁でtub2,por,sigが粘膜内を進展した場合,境界が不明瞭となることから,特に範囲診断に注意が必要であった.組織混在型胃癌に対して,X線検査では,組織型診断だけではなく範囲診断を正確に行うためには,空気量とバリウム量を変えて,二重造影法を駆使して撮影することが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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