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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻12号

2013年11月発行

文献概要

今月の主題 虚血性腸病変 主題

虚血性小腸炎の臨床像

著者: 梅野淳嗣1 江崎幹宏1 前畠裕司1 森山智彦1 浅野光一1 中村滋郎2 熊谷好晃3 平橋美奈子3 飯田三雄4 北園孝成1 松本主之1

所属機関: 1九州大学大学院病態機能内科学 2製鉄記念八幡病院消化器内科 3九州大学大学院形態機能病理学 4公立学校共済組合九州中央病院

ページ範囲:P.1704 - P.1716

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要旨 虚血性小腸炎24例の臨床像および検査所見を検討した.病変が回腸に限局する症例は,回腸以外にも病変を有する症例よりも高齢であり,高率に高度狭窄に至っていた.また,続発性の症例は,特発性の症例よりも高度狭窄に至る症例が多かった.小腸X線検査所見では,狭小化・管状狭窄が最も高率にみられ,経過とともに狭窄の程度が高度となっていた.術前の内視鏡検査による病変の観察は9例(37.5%)で可能であり,全周性区域性潰瘍が特徴的であった.15例(62.5%)で外科的切除を要したが,高度狭窄の1例では内視鏡的バルーン拡張術を行い,保存的に加療可能であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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