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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻12号

2013年11月発行

文献概要

今月の主題 虚血性腸病変 主題

虚血性小腸病変の病理診断―自験132例の検索結果を中心に

著者: 二村聡1 佐藤啓介1 塩飽洋生2 大石純2

所属機関: 1福岡大学医学部病理学講座 2福岡大学病院消化器外科

ページ範囲:P.1733 - P.1744

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要旨 虚血性小腸病変132例(絞扼による小腸虚血101例,腸間膜動脈血栓症12例,腸間膜静脈血栓症3例,その他の原因6例,狭義の虚血性小腸炎10例)の外科的切除標本を用いて,病理形態像を解析した.前三者はいずれも全例急性期であり,粘膜下層の浮腫と血管拡張が著明で,種々の程度に新鮮出血を伴っていた.腸間膜静脈血栓症は全て出血性梗塞像を呈したが,腸間膜動脈血栓症は出血性の他,貧血性または混合型の梗塞像を呈するものが9例存在した.狭義の虚血性小腸炎は急性期2例と慢性期(狭窄型)8例に大別され,後者は全て内腔の高度管状狭窄を示し,全周性の帯状潰瘍瘢痕を伴い,潰瘍深度はUL-IIs~IIIsで肉芽組織形成と線維筋症が目立った.

参考文献

1)岩下明徳,竹村聡,山田豊,他.原因別にみた虚血性腸病変の病理形態.胃と腸 28 : 927-941, 1993
2)岩下明徳.腸管─非腫瘍性疾患.向井清,真鍋俊明,深山正久(編).外科病理学,4版.文光堂,pp 503-559,2006
3)所澤剛.梗塞.飯島宗一,石川栄世,影山圭三,他(編).現代病理学体系第4巻─循環障害.中山書店,pp 271-280,1994
4)勝又伴栄,岡部治弥,中英男.虚血性小腸狭窄の臨床的および病理組織学的研究.日内会誌 74 : 1658-1671, 1985
5)飯田三雄,岩下明德,松井敏幸,他.虚血性小腸炎15例の臨床像およびX線像の分析.胃と腸 25 : 523-535, 1990
6)岩下明徳,八尾隆史,飯田三雄,他.虚血性小腸狭窄(狭窄型虚血性小腸炎)の臨床病理学的検索.胃と腸 25 : 557-569, 1990
7)岩下明徳,田中仁.狭窄型虚血性小腸炎.Fronti Gastroenterology 5 : 296-300, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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