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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻12号

2013年11月発行

今月の主題 虚血性腸病変

主題

虚血性腸炎―ウイルス感染との関連から

著者: 中嶋均1 前田正1 菅澤康幸1 渡邊利泰1 宮崎泰斗1 財裕明1 原規子1 本田善子1 中西員茂1 瓜田純久1 西澤明弘2 藤原崇3 門馬久美子4 小泉浩一3 神澤輝実3 江川直人5

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院総合診療科 2がん・感染症センター都立駒込病院循環器内科 3がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 4がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 5東京都立松沢病院内科

ページ範囲:P.1746 - P.1752

文献概要

要旨 急性胃腸炎(出血を含む)の113例において,大腸内視鏡検査および細菌,ウイルスを検索して得られた結果から,感染なしと比較して,ウイルス感染例では虚血性腸病変の頻度が高かった.ウイルス陽性の所見では,虚血性腸病変が最も頻度が高く,66.7%(24例)であった.ウイルス別では,アストロウイルス,ロタウイルス,アデノウイルスで虚血性腸病変の頻度が高く認められた.筆者らは,今回の結果より,ウイルス感染が関与する虚血性腸炎が潜在的に相当数存在するものと推測している.虚血性腸炎ではウイルス感染を要因の1つとして考え,検索する必要がある.

参考文献

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2)Sanjiv K Gandhi, Walter E Longo, Donald L Kavisk. Ischemic colitis. In Walter E Longo(eds), Intestinal Ischemic Disorders. Quality Medical Publishing, Inc. STLouis, Missouri, pp 221-241, 1999
3)吉野修郎,小林広幸,蔵原晃一,他.細菌培養検査が陽性を示す虚血性腸炎様病変.胃と腸 43 : 1606-1612, 2008
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8)飯田文世,三輪一博.高齢者と非高齢者の虚血性腸炎の危険因子並びに臨床的特徴の検討.Gastroenterol Endosc 54 : 2940, 2012
9)善田貴裕,法木左近.虚血性腸炎を合併したノロウイルス胃腸炎の1例.Endosc Forum Dig Dis 27 : 69, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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