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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻12号

2013年11月発行

今月の主題 虚血性腸病変

主題症例

空腸に限局性虚血を来し保存的に治療した上腸間膜静脈・門脈血栓症の1例

著者: 平田祐一1 河村卓二1 安田健治朗1 宇野耕治1 田中聖人1 宮田正年1 盛田篤広1 河端秀明1 鈴木安曇1 萬代晃一朗1 中瀬浩二朗1 真田香澄1 岡田雄介1 白川敦史1 飯塚亮二2

所属機関: 1京都第二赤十字病院消化器内科 2京都第二赤十字病院救急部

ページ範囲:P.1779 - P.1784

文献概要

要旨 患者は49歳,男性.2011年7月下旬より腹部膨満感を自覚し,数日後に左下腹部痛,嘔吐が出現した.腹部造影CT検査で上腸間膜静脈・門脈に血栓があり,近位空腸に壁肥厚を認めた.上腸間膜動脈からの血管造影検査では,動脈相で第一空腸動脈末梢の直動脈の描出不良があり,静脈相で上腸間膜静脈本幹の描出不良を認めた.上腸間膜静脈・門脈血栓症に伴う空腸の限局性虚血と診断し,血栓溶解療法を開始した後に血栓は縮小し,症状は改善した.小腸内視鏡検査では,近位空腸に約10cmの限局した黒色調の壊死性粘膜を認めた.ワーファリン®Rの内服後血栓は再発しなかったが,壊死性粘膜がみられた部位で狭窄が出現した.バルーン拡張術を行い,保存的に経過をみることができた.

参考文献

1)石井貴士,島田長人,柴忠明.上腸間膜静脈血栓症.臨外 52 : 1543-1547, 1997
2)折井正博,秋山芳伸,森末淳,他.腸間膜静脈血栓症.手術 50 : 909-915, 1996
3)Acosta S, Alhadad A, Svensson P, et al. Epidemiology, risk and prognostic factors in mesenteric venous thrombosis. Br J Surg 95 : 1245-1251, 2008
4)内田智夫.上腸間膜静脈血栓症.血管外科 25 : 26-29, 2006
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7)上原圭介,長谷川洋,小木曽清二,他.上腸間膜静脈血栓症の1例.日臨外会誌 60 : 3006-3010, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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