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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻13号

2013年12月発行

文献概要

今月の主題 好酸球性消化管疾患の概念と取り扱い 主題症例

難治性多発性深掘れ潰瘍を呈した好酸球性胃腸炎の1例

著者: 西下正和1 仲田文造2 江頭由太郎3 谷川徹也4 宮嵜孝子4 横松秀明5 渡辺憲治4 藤原靖弘4 荒川哲男4

所属機関: 1西下胃腸病院 2市立柏原病院外科 3大阪医科大学病理学教室 4大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学 5堺山口病院外科

ページ範囲:P.1931 - P.1937

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要旨 患者は27歳,男性.主訴は心窩部痛,嘔吐,体重減少.他院でH2ブロッカーの内服治療を数か月受けたが,症状が改善しないため,当院を受診した.上部消化管内視鏡検査では胃および十二指腸に多発性深掘れ潰瘍を認めた.プロトンポンプ阻害薬(PPI)を約2年間投与したが,潰瘍病変は寛解と再燃を繰り返した.好酸球性胃腸炎を疑い,アレルギー検査を行ったところ,卵白,牛肉,豚肉に陽性を示し,胃生検の病理組織学的所見では,粘膜固有層に20個/HPF以上の好酸球浸潤を認めたため,好酸球性胃腸炎と診断した.プレドニゾロン(PSL)の内服加療を開始したところ,潰瘍は速やかに瘢痕化した.その後PSLを漸減中止したところ,約1か月で再燃した.現在,少量のPSLとPPIの継続投与を行っている.

参考文献

1)木下芳一,千葉勉,松井敏幸,他.厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「好酸球性食道炎/好酸球性胃腸炎の疾患概念確立と治療指針作成のための臨床研究」.平成23年度総括・分担研究報告書.2012
2)Kaijser R. Zur kenntnis der allergischen affektionen des verdauungskanals vom standpunkt des chirurgen aus. Arch Klin Chir 188 : 36-64, 1937
3)岩田繁雄.高度の好酸球増多症を伴った亜急性好酸球性腹膜炎の1治験例.南大阪病医誌 7 : 159-161, 1959
4)Talley NJ, Shorter RG, Phillips SF, et al. Eosinophilic gastroenteritis : A clinicopathological study of patients with disease of the mucosa, muscle layer, and submucosal tissues. Gut 31 : 54-58, 1990
5)Klein NC, Hargrove RL, Sleisenger MH, et al. Eosinophilic gastroenteritis. Medicine(Baltimore) 49 : 299-319, 1970

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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