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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻13号

2013年12月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

大腸ESDにて治癒切除と判断され,1年後に粘液癌で局所再発した早期大腸癌の1例

著者: 鷹尾俊達1 山口裕一郎1 伊藤以知郎2 池原久朝3 堀田欣一1 鷹尾まど佳1 田中雅樹1 角嶋直美1 滝沢耕平1 松林宏行1 小野裕之1 下田忠和4

所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科 2静岡県立静岡がんセンター病理診断科 3兵庫医科大学上部消化管科 4国立がん研究センターがん対策情報センター

ページ範囲:P.1954 - P.1960

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要旨 患者は70歳代,男性.下部直腸に30mm大で丈高の隆起性病変を認めESDを行った.病理結果は,carcinoma in tubulovillous adenoma,M,ly0,v0,HM0,VM0であり治癒切除と判断したが,1年後の経過観察内視鏡で,初回ESDの瘢痕近傍になだらかに立ち上がる15mm大の隆起性病変を認めた.診断目的に再ESDを行ったところ,mucinous adenocarcinoma,SM-M以深,ly0,v0,HM0,VM1と診断された.初回ESD病変の深切り切片を再評価したところリンパ管侵襲を指摘されたため,初回ESD病変の局所再発であると考えた.断端陰性一括切除された深達度Mの早期大腸癌が粘膜下腫瘍様の形態を呈する粘液癌で局所再発した症例は,筆者らが検索しえたかぎりではこれまでに報告がない.絨毛性腫瘍は割を入れると細かく分断され薄く切れないため,脈管侵襲を発見するためには多段階の深切りによる病理学的検索が重要と考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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