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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻2号

2013年02月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

食道噴門腺由来と考えられた早期食道腺癌の1例

著者: 小野陽一郎1 宗祐人2 酒見亮介1 下河邉正行1 松井敏幸3 田邉寛4 岩下明德4 水之江和宏5

所属機関: 1戸畑共立病院内科 2戸畑共立病院消化器病センター 3福岡大学筑紫病院消化器内科 4福岡大学筑紫病院病理部 5水之江内科外科クリニック

ページ範囲:P.223 - P.229

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要旨 患者は64歳,男性.自覚症状なし.近医の上部消化管内視鏡検査にて,SCJ(squamocolumnar junction)近傍に隆起性病変を指摘され,精査加療目的で当院へ紹介された.食道X線検査では食道胃接合部(esophagogastric junction ; EGJ)に長径10mmの分葉状の隆起性病変として描出され,食道内視鏡では一部表面に白苔を伴う発赤調の亜有茎性隆起であった.周囲の粘膜にはSSBE(short segment Barrett esophagus)を伴っており,前医での生検で分化型腺癌が検出されていたため,Barrett食道腺癌と術前診断し,内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection ; ESD)にて切除した.病理組織学的には深達度MMの高分化腺癌であった.切除標本の病理組織学的所見では,Barrett上皮との連続性はなく,切除標本における肉眼的形態や,粘膜固有層~粘膜深層を主座として食道噴門腺やその導管に類似した腺管形態を示したことから食道噴門腺に由来する原発性食道腺癌と推測された.

参考文献

1)Comprehensive Registry of Esophageal Cancer in Japan(1998, 1999)& Long-term Results of Esophagectomy in Japan(1998-1997), 3rd Edition. The Japanese Society for Esophageal Diseases, 2002
2)中山恒明,柳沢文憲,鈴木恵之助,他.食道の原発性腺癌.癌の臨 10 : 8-16, 1964
3)日本食道学会(編).食道癌取扱い規約,10版.金原出版,2007
4)Takubo K. Squamous metaplasia with reserve cell hyperplasia in the esophagogastric junction zone. Acta Pathol Jpn 31 : 349-359, 1981
5)Takubo K. Chapter 2, Structure of the Esophagus. Pathology of the Esophagus : An Atlas and Text Book, 2nd ed. Springer, Tokyo, pp 8-45, 2007
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7)Sarbia M, Donner A, Gabbert HE. Histopathology of the gastroesophageal junction ; a study on 36 operation specimens. Am J Surg Pathol 26 : 1207-1212, 2002
8)下田忠和,九嶋亮二,瀧沢初.食道胃接合部腺癌の病理学的特性.胃と腸 44 : 1083-1094, 2009
9)小沢俊文,渡辺秀紀,堀江裕子,他.食道胃接合部における炎症性ポリープの臨床病理学的検討.Gastroenterol Endosc 44 : 980-989, 2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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