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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻3号

2013年03月発行

文献概要

今月の主題 隆起型食道癌の特徴と鑑別診断 主題

隆起型食道腫瘍の鑑別診断―内視鏡の立場から

著者: 門馬久美子1 藤原純子1 加藤剛2 長尾知子3 剛﨑有加3 了徳寺大郎2 三浦昭順2 出江洋介2 比島恒和4 吉田操5

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 3がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 4がん・感染症センター都立駒込病院病理科 5早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.292 - P.307

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要旨 隆起を示す食道腫瘍には,良性および悪性腫瘍が含まれるため,隆起の形(隆起の丈と基部の広さ),周囲粘膜からの立ち上がり,表面の凹凸や表面性状,大きさ,硬さ,色調,上皮内伸展の有無などを参考に鑑別を行う.平滑筋腫と顆粒細胞腫は,上皮で覆われた固い腫瘍を示すのに対し,脂肪腫,リンパ管腫,海綿状血管腫は,緊満感のない軟らかい腫瘍を示しており,色調などを参考にすれば,良性疾患はある程度診断可能である.これに対し,粘膜下腫瘍様の形態を示す食道癌は診断が難しい.発見時点で既に粘膜下層癌であり,血行性転移を生じる傾向があり予後不良のため,治療方針決定のためにも早期の診断が望まれるが,表層に露出している病巣部分が狭いため,適切な腫瘍組織が採取できず,確定診断に至らないこともある.粘膜下腫瘍様の形態を示す食道癌には,低分化型扁平上皮癌,類基底細胞癌,未分化型癌,腺様囊胞癌,腺扁平上皮癌,粘表皮癌などが含まれるとされているが,低分化型扁平上皮癌と類基底細胞癌では,粘膜下腫瘍様以外に,様々な隆起の形態を示す症例があり,形態だけでは診断困難である.

参考文献

1)幕内博康,島田英雄,千野修,他.粘膜下腫瘍様の食道表在癌の内視鏡診断.胃と腸 32 : 701-709, 1997
2)門馬久美子,吉田操,山田義也,他.粘膜下腫瘍様の形態を示した食道表在癌─臨床および画像的特徴,鑑別診断.胃と腸 38 : 1505-1518, 2003
3)小澤広,門馬久美子,吉田操,他.消化管粘膜下腫瘍の内視鏡診断─通常内視鏡所見からみた鑑別診断 : 上部消化管.胃と腸 39 : 446-456, 2004
4)門馬久美子,吉田操,加藤久人,他.食道リンパ管腫.食道疾患レアケース・アトラス.医学書院,p 22-25,1999
5)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約,10版.金原出版,2007
6)吉田操,門馬久美子,葉梨智子.早期食道癌の内視鏡治療.消病セミナー 78 : 59-67, 2000
7)幕内博康.深達度を迷わせる食道表在癌─その原因と画像の特徴.胃と腸 39 : 857-859, 2004
8)Comprehensive Registry of Esophageal Cancer in Japan, 2004 The Registration Committee for Esophageal Cancer The Japan Esophageal Society
9)第49回食道疾患研究会アンケート集計報告表在癌.(当番世話人 : 小玉正智)1995年6月
10)幕内博康,島田英雄,千野修,他.特殊組織型の食道癌─内視鏡の立場から.胃と腸 40 : 320-336, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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