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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻3号

2013年03月発行

今月の主題 隆起型食道癌の特徴と鑑別診断

主題症例

通常・色素およびNBI併用拡大内視鏡が診断に有用であった食道類基底扁平上皮癌の1例

著者: 竹内学1 渡邉玄2 小林正明3 橋本哲3 水野研一3 佐藤祐一1 味岡洋一2 青柳豊1

所属機関: 1新潟大学医歯学総合研究科消化器内科学分野 2新潟大学医歯学総合研究科分子診断病理学分野 3新潟大学医歯学総合病院光学医療診療部

ページ範囲:P.355 - P.361

文献概要

要旨 患者は50歳代,男性.検診異常にて,近医で上部消化管内視鏡検査を施行し食道癌と診断され,当院へ紹介となった.通常観察では,Mt中心に長径約7cmの発赤調平坦病変を認め,病変内中央に表面が顆粒状・結節状を呈する白色調隆起を伴っていた.なだらかな立ち上がりを示し,緊満感を認めた.ヨード染色では,隆起周囲には不整地図状の不染帯を広範囲に認めたが,隆起の多くは染色され,非腫瘍性扁平上皮に被覆されていた.隆起部のNBI拡大観察では,軽度拡張したType B2血管が,網状あるいは不整樹枝状かつ密に存在する所見を認めたが,血管の口径不同は乏しかった.EUSでは,腫瘍が第2~3層を主座に均一な低エコーを呈し,粘膜下層は菲薄化していたが,明らかな筋層への浸潤は認めなかった.隆起は,なだらかな立ち上がりを示す上皮下発育の腫瘍で,大小不同の顆粒状・結節状表面構造を呈し,周囲に上皮内進展を伴うこと,NBIでは,有馬分類のtype 4Rに類似していたことより,特殊組織型食道癌,特に類基底扁平上皮癌あるいは腺扁平上皮癌を鑑別に考え,表在型食道癌0-“Is”+IIb,cT1b(SM2)N0M0,Stage Iにて,胸腔鏡補助下食道切除術(3領域郭清)を施行した.病理診断はbasaloid squamous carcinoma(pSM2)with squamous cell carcinoma(pEP/LPM),INFb,ly0,v0,pPM0,pDM0,pRM0,SMT-like,27×20mm(浸潤部),N0であった.

参考文献

1)吉田操.特殊組織型食道癌.胃と腸 40 : 277-278, 2005
2)今井裕,長島礼奈,那須政司,他.特殊組織型の食道癌─X線の立場から.胃と腸 40 : 301-309, 2005
3)幕内博康,島田英雄,千野修,他.特殊組織型の食道癌─内視鏡の立場から.胃と腸 40 : 320-336, 2005
4)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約,10版補訂版.金原出版,2008
5)友利彰寿,小山恒男,高橋亜紀子,他.特殊組織型の癌─adenoid cystic componentを伴ったbasaloid squamous cell carcinomaの1例.胃と腸 46 : 750-756, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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