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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻3号

2013年03月発行

文献概要

今月の主題 隆起型食道癌の特徴と鑑別診断 主題症例

通常・色素およびNBI併用拡大内視鏡が診断に有用であった食道神経内分泌細胞癌の1例

著者: 竹内学1 渡邉玄2 小林正明3 橋本哲3 水野研一3 佐藤祐一1 味岡洋一2 青柳豊1

所属機関: 1新潟大学医歯学総合研究科消化器内科学分野 2新潟大学医歯学総合研究科分子診断病理学分野 3新潟大学医歯学総合病院光学医療診療部

ページ範囲:P.362 - P.368

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要旨 患者は60歳代,女性.近医の上部消化管内視鏡検査で食道に隆起性病変を認め,生検で扁平上皮癌と診断され,当院へ紹介となった.通常観察では,Ut~Mt後壁を中心に40mm大の発赤調平坦病変を認め,中央に約10mm大の頂部,やや陥凹呈する隆起を伴っていた.隆起部は緊満感・硬さを有し,ヨード染色では頂部陥凹部のみ不染帯を呈した.NBI拡大観察では,隆起部辺縁に太く蛇行するType B3血管を認め,隆起頂部では,Type B2血管が不整樹枝状から網状の走行を呈していた.EUSでは,第2~3層を主座に均一な低エコー腫瘤を呈し,筋層への浸潤は認めなかった.隆起は比較的急峻な立ち上がりを示す上皮下発育主体であり,微細血管はType B2血管が不整樹枝状から網状を呈することより,特殊組織型食道癌あるいは低分化型扁平上皮癌と診断した.PET-CTでは明らかな転移はなく,表在型食道癌0-“Is”+IIb,cT1b(SM2)N0M0,Stage Iにて胸腔鏡補助下食道切除術(3領域郭清)を施行した.病理診断はendocrine cell carcinoma,pT1b(SM3),ly0,v0,pPM0,pVM0,pRM0,N0であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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