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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻3号

2013年03月発行

文献概要

今月の主題 隆起型食道癌の特徴と鑑別診断 主題症例

食道アカラシアに合併した0-Ip型食道表在癌(癌肉腫)を認めた1例

著者: 小澤俊文12 海上雅光3

所属機関: 1佐藤病院消化器内科 2医療生協わたり病院消化器科 3医療生協わたり病院病理科

ページ範囲:P.369 - P.375

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要旨 患者は17歳時から食道アカラシアの既往のある60歳代の男性.食道X線造影検査では胸部下部食道が対称性に狭小化し,拡張した口側食道に楕円形で可動性を有する隆起性病変を認めた.内視鏡検査では狭窄部を中心とした白濁肥厚粘膜を背景とし,胸部下部食道に白色で可動性を有するIp型病変と,発赤調で地図状の浅い陥凹面や不整なびらんが多発していた.ヨード染色でも不染ないし淡染を呈した.病理組織学的には,Ip型病変は主に低分化型扁平上皮癌から成り,多彩な組織像を示す紡錘型腫瘍細胞を伴うことから,癌肉腫と最終診断した.多発する0-IIcないし0-IIb病変はpT1a-LPMまでの扁平上皮癌であった.食道アカラシアにIp型食道癌(癌肉腫)が合併した報告は極めてまれであり,報告した.

参考文献

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14)日本乳癌学会(編).臨床・病理─乳癌取扱い規約,15版.金原出版,pp 37-38,2004
15)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約(英語版),9版.金原出版,pp 44-45,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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