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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻4号

2013年04月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

短期間に形態変化を来し,粘膜内病巣に複数の組織型を併存した胃内分泌細胞癌の1例

著者: 小澤俊文12 和知栄子3 二村聡4

所属機関: 1佐藤病院消化器科 2坪井病院消化器科 3坪井病院病理科 4福岡大学医学部病理学講座

ページ範囲:P.499 - P.510

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要旨 患者は78歳,女性.心窩部不快感を主訴に近医を受診し,上部消化管内視鏡検査で異常を指摘され,加療目的で当院を受診した.当院での内視鏡検査では,クローバー状で白色調の0-IIa型病変を認め,肛門側の発赤部は陥凹内隆起を呈した.発赤部以外の伸展性は良好で,EUSでは発赤部に一致して第3層の画然とした狭小化を認めた.拡大観察では,白色部に顆粒乳頭状構造と円形白色構造を多数認め,粘液成分に富む分化型腺癌と判断した.0-IIa+IIc型早期胃癌,cT1b2と診断し,幽門側胃切除を施行した.病理はECC>tub1+tub2>por/sig>pap-tubと多彩な組織型であった.粘膜内にはtub1からECCへの移行像が観察され,癌性潰瘍を示したpT1b部はECCであった.

参考文献

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4)日本胃癌学会(編).臨床・病理─胃癌取扱い規約,14版.金原出版,2010
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9)岩淵三哉,西倉健,渡辺英伸.胃と大腸の早期内分泌細胞癌─その特徴と発生.消内視鏡 7 : 275-284, 1995
10)八木一芳,味岡洋一(著).胃の拡大内視鏡診断.医学書院,pp 63-75,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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