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Coffee Break
見る 4.見えるもの,見えないもの
著者: 長廻紘
所属機関:
ページ範囲:P.519 - P.519
文献購入ページに移動江戸時代には自然があふれていた.当時の世界最大都市と推定される江戸は都市と自然が一体化して街全体が緑豊かであった(オールコック,『大君の都』).明治になっても,有名なベルツの日記に同様の記載がある.またモノが溢れかえっていることよりは,むしろ良いデザインの中に,美や喜びを見いだす社会であった(ハンレー,『江戸時代の遺産』中央公論,1990).いったん封印されたかに見える日本独自の文化は地下水脈として,現代日本の各方面に生きていて,その地下水脈から表面に浮上してきたのがクール・ジャパン(クール : 格好良い).主にアニメやファッションの世界で使われる.細部にこだわり,美しいものに鋭敏な感覚を持つ,趣味の良い生活の伝統が生み出した.「日本の芸術を研究してみると,あきらかに賢者であり哲学者であり知者である人物に出会う.彼は(中略)ビスマルクの政策を研究しているのか,そうでない.彼はただ一茎の草の芽を研究しているのだ.(中略)いいかね,彼らみずからが花のように,自然の中に生きていく.(『ゴッホの手紙』岩波文庫,第542信)」.
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