icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻5号

2013年05月発行

文献概要

特集 炎症性腸疾患 2013 主題 炎症性腸疾患の診断

炎症性腸疾患の鑑別診断―感染性腸炎を除く

著者: 平田一郎1

所属機関: 1藤田保健衛生大学消化管内科学講座

ページ範囲:P.569 - P.581

文献購入ページに移動
IBDが典型的な画像所見を示していればその診断は比較的容易であるが,典型的所見を欠く場合は診断に苦慮することが多く,様々な腸炎との鑑別が必要となる.診断困難な場合,慎重な経過観察によって初めて確定診断に至る例も少なくない.IBDと鑑別を要する腸炎のうち感染症以外の主要な疾患として,Crohn病(CD)との鑑別では,主に腸管Behçet病(BD)・単純性潰瘍,潰瘍性大腸炎,虚血性大腸炎,NSAID起因性腸病変(潰瘍型),collagenous colitisなどが挙げられる.UCとの鑑別では,主に腸管BD,CD,リンパ濾胞性直腸炎,NSAID起因性腸病変(大腸炎型),腸管アミロイドーシス,放射線性腸炎などが挙げられる.また,indeterminate colitisの定義として“UCとCDの所見が重複し”とあるが,具体的所見としてに統一されたものはなく,その診断は注意深く行わなければならない.本稿では,前述した疾患の画像を示しながら,IBDとの鑑別診断について述べる.

参考文献

1)二見喜太郎.Crohn病肛門病変に対する治療指針の作成─アンケート調査報告.難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(渡辺班)平成20年度総括・分担研究報告書.pp 35-36,2009
2)松井敏幸.クローン病診断基準(案): 厚生労働科学研究難治性疾患克服事業─難治性炎症性腸管障害調査研究に関する調査研究(渡辺班)平成22年度総括・分担研究報告書.pp 475-477,2011
3)平田一郎,西川貴士,長坂光夫,他.Crohn病の上部消化管病変の臨床的検討─経過を含めて.胃と腸 42 : 429-440, 2007
4)蒲池紫乃,岩下明德,八尾恒良,他.Crohn病診断基準の問題点─病理の立場から生検における非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を中心に.胃と腸 36 : 175-182, 2001
5)渡辺英伸,遠城寺宗知,八尾恒良.回盲弁近傍の単純性潰瘍の病理.胃と腸 14 : 749-767, 1979
6)村野直子,平田一郎,村野実之,他.BDと単純性潰瘍における難治群の検討.胃と腸 38 : 201-208, 2003
7)Masugi J, Matsui T, Fujimori T, et al. A case of Behçet's disease with multiple longitudinal ulcers all over the colon. Am J Gastroenterology 89 : 778-780, 1994
8)舟山尚,中野新一,斉光麟,他.ベーチェット病を伴った肉芽腫性大腸炎.外科診療 20 : 893-896, 1978
9)八木田旭邦,樋口公明,椎名栄一,他.Behçet病にクローン病が合併したと考えられる症例.胃と腸 14 : 939-945, 1979
10)淵上忠彦,長村俊志,堺勇二.腸型Behçet,単純性潰瘍.胃と腸 32 : 451-458, 1997
11)松本主之,飯田三雄,蔵原晃一,他.NSAID起因性下部消化管病変の臨床像.胃と腸 35 : 1147-1158, 2000.
12)平田一郎.Microscopic colitisのすべて─新しい疾患概念と定義の策定に向けて.武藤徹一郎,杉原健一,藤盛孝博,他(編).大腸疾患NOW 2012.日本メディカルセンター,pp 13-24,2012
13)Flejou JF, Potet F, Bogomoletz WV, et al. Lymphoid follicular proctitis. A condition different from ulcerative proctitis ? Dig Dis Sci 33 : 314-320, 1988
14)森伸一,徳富研二,川村洋和,他.腸管ベーチェット病における広範な結腸病変.リウマチ 29 : 172-177, 1989
15)前田正人,酒井義法,小山恒,他.広範な結腸病変を伴ったBehçet病の1例.日消誌 84 : 1453-1456, 1987
16)李 民,山縣沙希子,小林めぐみ,他.潰瘍性大腸炎を伴った不全型Behçet病の1例.皮膚臨床 52 : 795-799, 2010
17)Price AB. Overlap in the spectrum of non-specific inflammatory bowel disease-“colitis indeterminate”. J Clin Pathol 31 : 567-577, 1978
18)Geboes K, Colombel JF, Greenstein A, et al. Indeterminate colitis : a review of the concept- What's in a name ? Inflamm Bowel Dis 14 : 850-857, 2008
19)Tremaine WJ. Is indeterminate colitis determinable ? Curr Gastroenterol Rep 14 : 162-165, 2012
20)平井郁仁,松井敏幸,宮岡正喜,他.indeterminate colitisの臨床的検討─その定義と頻度,臨床経過について.胃と腸 41 : 885-900, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?