icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻6号

2013年05月発行

文献概要

今月の主題 微小胃癌の診断限界に迫る 主題

微小胃癌に対するX線診断の現状と課題

著者: 入口陽介1 小田丈二1 水谷勝1 高柳聡1 冨野泰弘1 小山真一郎1 山里哲郎1 岸大輔1 大村秀俊1 板橋浩一1 中河原亜希子1 藤田直哉1 今村和広2 高西喜重郎2 松本潤2 山村彰彦3 細井董三1

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2都立多摩総合医療センター外科 3東京都がん検診センター検査科

ページ範囲:P.822 - P.834

文献購入ページに移動
要旨 過去5年間に,当センターで経験した5mm以下の微小胃癌80例106病変を対象として,発見方法,組織型,腫瘍径と描出率,X線像を中心に,画像診断,特にX線検査の拾い上げについて検討した.検査方法別の病変数と平均腫瘍径は,X線検査:5病変,4.7mm,内視鏡検査:40病変,3.8mmであった.また,術後の全割標本による病理組織学的検査で診断された病変は,35例61病変,2.8mmで,すべて多発胃癌の副病変であった.組織型は,分化型97病変(tub1:90病変,tub2:7病変),未分化型9病変(sig:8病変,por1>tub2:1病変)で,分化型が多かった.X線検査の腫瘍径別描出率は,5mmでは50%と高率であり,付着ムラのないX線撮影が行われていれば,検診でも微小胃癌を的確に診断していた.したがって,微小胃癌をX線検査で発見するためには,付着ムラのない写真を撮影し,読影では,微小胃癌のX線所見の特徴である不整形の小バリウム斑と,辺縁の微細な棘状陰影や微細顆粒状の辺縁隆起について熟知して拾い上げることが大切である.

参考文献

1)杉野吉則,中村祐二朗,和田則仁,他.深達度診断のための精密検査.胃と腸 44 : 593-607, 2009
2)中島寛隆,長浜隆司,大倉康男,他.陥凹型小胃癌の診断.胃と腸 41 : 753-762, 2006
3)小田秀也,渕上忠彦,小林広幸,他.陥凹型小胃癌の診断.胃と腸 41 : 753-762, 2006
4)八尾建史,長浜孝,宗祐人,他.陥凹型小胃癌の鑑別診断.胃と腸 41 : 781-794, 2006
5)友利彰寿,小山恒男,宮田佳典,他.陥凹性小胃癌の鑑別診断.胃と腸 41 : 795-803, 2006
6)細川治,宮永太門,浅海吉傑,他.X線検診との比較における胃内視鏡検診有効性評価.胃と腸 43 : 1203-1210, 2008
7)小野裕之,乾哲也,蓮池典明,他.早期胃癌に対するESD切除成績と切除困難例の特徴.胃と腸 41 : 37-44, 2006
8)滝沢耕平,下田忠和,中西幸浩,他.早期胃癌に対する内視鏡切除の適応拡大.胃と腸 41 : 9-17, 2006
9)浜田勉,近藤健司,板垣雪絵,他.微小未分化型胃癌の内視鏡的切除の成績.胃と腸 30 : 1279-1286, 1995
10)八木一芳,佐藤聡史,中村厚夫,他.範囲診断のための精密検査.胃と腸 44 : 663-674, 2009
11)荒井邦佳,北村正次,宮下薫.早期胃癌に対する縮小手術と内視鏡的粘膜切除術の問題点─多発早期胃癌における微小癌を中心に.日消外誌 25 : 1953-1957, 1992
12)大井田正人,菅野聡,今泉弘,他.微小胃癌の臨床診断の限界.胃と腸 30 : 1231-1237, 1995
13)渕上忠彦,野見山祐次,平川雅彦,他.微小胃癌の臨床診断の限界.胃と腸 30 : 1249-1260, 1995
14)冨松久信,藤谷幹浩,早川尚男,他.微小胃癌とびらんの鑑別診断.胃と腸 30 : 1261-1278, 1995
15)高橋寛.胃拡大内視鏡検査による発赤病変の鑑別能(臨床的検討─特に胃びらんと微小胃癌の鑑別).Gastroenterol Endosc 26 : 1646-1652, 1984
16)馬場保昌,田尻祐二,清水宏,他.微小胃癌のX線診断─肉眼所見との対比から.胃と腸 23 : 725-739, 1988
17)浅木茂,関根仁,舟田公治,他.微小胃癌診断をめぐる諸問題.消内視鏡 3 : 271-278, 1991
18)早川和雄,橋本光代,吉田行哉,他.微小胃癌診断のコツ─肉眼所見と対比して : 内視鏡の立場から.胃と腸 23 : 757-773, 1988
19)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,14版,金原出版,2010
20)中村恭一.胃癌の構造,3版.医学書院,東京,2005
21)細井董三(編).スタンダード胃内視鏡検査.医学書院,2009
22)小山恒男.胃癌に対する内視鏡スクリーニング.胃と腸 43 : 1211-1215, 2008
23)西倉健,渡辺英伸,加藤法導,他.微小胃癌の組織学的種々像と鑑別診断.胃と腸 30 : 1295-1307, 1995
24)Shiao YH, Rugge M, Correa P, et al. p53 alteration in gastric precancerous lesions. Am J Pathol 144 : 511-517, 1994
25)石黒信吾,春日井務,寺田信行,他.胃癌の組織型の変化.胃と腸 31 : 1437-1443, 1996
26)下田忠和,二村聡,関根茂樹,他.胃癌の病理学的研究の進歩と臨床の接点.胃と腸 38 : 43-56, 2003
27)安井昭,三宅政房,吉田光宏,他.切除胃からみた重複胃癌の検討.臨外 31 : 73-80, 1976
28)入口陽介,小田丈二,水谷勝,他.多発胃癌の診断におけるX線造影検査の役割.胃と腸 46 : 31-45, 2011
29)八尾隆史,大屋正文,宇都宮尚,他.多発早期胃癌の見逃し病巣の検討.胃と腸 29 : 633-642, 1994
30)美園俊明,西俣寛人,堀雅英,他.多発胃癌─X線診断の立場から.胃と腸 29 : 643-655, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?