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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻7号

2013年06月発行

文献概要

今月の主題 消化管内分泌細胞腫瘍の診断と治療―WHO分類との対比 主題症例

杯状の形態を示しリンパ節転移を来した直腸カルチノイド(NET G1)の1例

著者: 佐野村誠1 平田一郎2 江頭由太郎3 西川知宏1 原あずさ1 吉田紘子1 中悠1 高橋良明1 佐々木有一1 西口完二4 梅垣英次5 樋口和秀5

所属機関: 1北摂総合病院消化器内科 2藤田保健衛生大学消化管内科 3大阪医科大学病理学教室 4北摂総合病院一般・消化器外科 5大阪医科大学第2内科

ページ範囲:P.1050 - P.1058

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要旨 患者は66歳,女性.血便を主訴に当科外来を受診し,大腸内視鏡検査を施行したところ,直腸Rbに18mm大の隆起性病変を認め,中央には発赤した陥凹面を認めた.陥凹辺縁から隆起の立ち上がりにかけて正常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍様の像を呈し,短い茎を有する杯状の形態を示していた.各種検査にて,粘膜下層深部まで達する18mm大の直腸カルチノイドで,陥凹を伴っており,手術適応の病変と診断し,腹腔鏡下超低位前方切除術を施行した.切除病理標本にて,WHO分類NET G1のカルチノイド腫瘍であり,脈管侵襲陽性でリンパ節転移を認めた.

参考文献

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9)Bosman FT, Carneiro F, Hruban RH, et al(eds). WHO classification of tumours of the digestive system, 4th ed. IARC Press, Lyon, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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