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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻8号

2013年07月発行

文献概要

今月の主題 非腫瘍性大腸ポリープのすべて グラフ

inflammatory fibroid polyp

著者: 岡本康治1 蔵原晃一1 大城由美2 石橋英樹2 小林広幸2 川崎啓祐1

所属機関: 1松山赤十字病院胃腸センター 2松山赤十字病院病理部

ページ範囲:P.1196 - P.1197

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概念・病態

 IFP(inflammatory fibroid polyp)は消化管の粘膜下に発生する良性の疾患である.1920年にKonjetzny1)が,消化管に発生する原因不明の好酸球浸潤を伴う肉芽腫性病変を,polypoid fibromaとして報告したのが最初である.その後,さまざまな名称で報告されてきたが,1953年にHelwigら2)が好酸球浸潤のみにとらわれず炎症反応の反応性増殖の結果としてポリープ,隆起型を呈するものを“inflammatory fibroid polyp”と命名し,以降この名称が広く用いられている.

 成因は,反応性の炎症性ポリープ様病変とする炎症説が最も有力で,現在では非腫瘍性ポリープの中に分類されている.近年,血小板由来増殖因子受容体α(PDGFRA)遺伝子の機能獲得性突然変異の関与が示唆されている3)

参考文献

1)Konjetzny GE. Uber magenfibrome. Beitrage Zur klinischen Chirurgie 119 : 53-61, 1920
2)Helwig EB, Ranier A. Inflammatory fibroid polyps of the stomach. Surg Gynecol Obstet 96 : 335-367, 1953
3)Schildhaus HU, Cavlar T, Binot E, et al. Inflammatory fibroid polyps harbor mutations in the platelet-derived growth factor receptor alpha(PDGFRA)gene. The Jounal of Pathology 216 : 176-182, 2008
4)Johnstone JM, Morson BC. Inflammatory fibroid polyp of the gastrointestinal tract. Histopathology 2 : 349-361, 1978
5)小林広幸,渕上忠彦,堺勇二,他.消化管炎症性類線維ポリープ(IFP)の診断と治療.胃と腸 39 : 640-646, 2004
6)桑原公亀,石橋敬一郎,大澤智德,他.潰瘍性大腸炎に合併した大腸inflammatory fibroid polypの1例.日本外科系連合学会誌 34 : 1106-1109, 2009
7)野村栄樹,宮崎武文,内海潔.上行結腸に発生したinflammatory fibroid polypの1例.Gastroenterological Endoscopy 53 : 3336-3337, 2011
8)岩川和秀,田中仁,梶原伸介,他.病変内に膿瘍を形成した横行結腸Inflammatory fibroid polypの1例.日本臨床外科学会雑誌 63 : 2727-2729, 2002
9)日比知志,伊藤真悟,山本均,他.術前病理組織診断が得られた小腸inflammatory fibroid polypの1例.Gastroenterological Endoscopy 45 : 2314-2319, 2003
10)Ishibashi H, Aoyagi K, Kobayashi H, et al. Endoscopic mucosal resection of inflammatory fibroid polyp in the transvers colon. Endoscopy 44 : E15-E16, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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