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文献詳細

雑誌文献

胃と腸48巻9号

2013年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌治療の最先端 主題

食道SM癌に対する治療成績―内視鏡切除の立場から

著者: 三浦昭順1 門馬久美子2 加藤剛1 河村英恭1 久米雄一郎1 十倉三千代1 了徳寺大郎1 出江洋介1 藤原純子2 比島恒和3 吉田操4

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 2がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 3がん・感染症センター都立駒込病院病理科 4早期胃癌検診協会

ページ範囲:P.1277 - P.1284

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要旨 食道SM2以深癌の内視鏡治療(ER)を中心とした温存治療の可能性を探るため,1990~2010年までに当院で深達度pSM2以深食道癌と診断した手術症例119例,ER症例65例の合計184例を検討対象とした.手術症例では,脈管侵襲を98例,リンパ節転移を51例に認めた.脈管侵襲陰性21例は,全例がリンパ節転移を認めず,無再発であった.ER症例は,追加治療未施行が22例,うち耐術能を有する7例は全例,無再発生存で,脈管侵襲陰性,SM2浸潤部の距離や面積が小さい特徴を認めた.化学放射線療法(CRT)は27例で,耐術能を有する症例は11例であった.そのうち1例が照射範囲外のリンパ節再発で原病死となった.手術療法が16例で,うち2例にリンパ節転移を認めたが,全例が無再発生存中であった.ER症例65例中49例(75%)に温存治療を施行した.他病死を除いた5年生存率は,ER単独が89%,ER+CRTが82%と良好で,特に脈管侵襲陰性11例は全例無再発生存であった.この結果から,SM2以深Stage I食道癌においてstep upとしてのERは有効であり,特に脈管侵襲陰性例では温存治療の可能性があることが示された.

参考文献

1)日本食道学会(編).食道癌診断・治療ガイドライン2012年4月版.金原出版,2012
2)宇田川晴司,堤謙二,木下義弘,他.食道sm癌に対する温存治療の可能性.外科の立場からの検討.胃と腸 37 : 1294-1298, 2002
3)Igaki H, Kato H, Tachimori Y, et al. Clinicopathologic characteristics and survival of patients with clinical Stage I squamous cell carcinomas of the thoracic esophagus treated with three-field lymph node dissection. Eur J Cardiothorac Surg 20 : 1089-1094, 2001
4)Tachibana M, Kinugasa S, Shibakita M, et al. Surgical treatment of superficial esophageal cancer. Arch Surg 91 : 304-321, 2006
5)真能正幸,上堂文也,石黒信吾,他.食道sm癌に対する温存治療の可能性.病理の立場からの検討.胃と腸 37 : 1257-1262, 2002
6)Kahn HJ, Marks A. A new monoclonal antibody, D2-40, for detection of lymphatic invasion in primary tumors. Lab Invest 82 : 1255-1257, 2002
7)Amano T, Matsumoto T, Hayashi T, et al. Subepithelial extension of squamous cell carcinoma in the esophagus : histopathological study using D2-40 immunostaining for 108 superficial carcinomas. Pathol Int 57 : 759-764, 2007
8)Kato H, Sato A, Fukuda H, et al. A phase II trial of chemoradiotherapy for stage I esophageal squamous cell carcinoma : Japan Clinical Oncology Group Study(JCOG9708). Jpn J Clin Oncol 39 : 638-643, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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