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消化管組織病理入門講座・4
【小腸・大腸】神経内分泌腫瘍;neuroendocrine neoplasms
著者: 西倉健1
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野(済生会新潟第二病院病理診断科)
ページ範囲:P.1342 - P.1350
文献購入ページに移動“神経内分泌腫瘍”(neuroendocrine neoplasms*1)は,神経内分泌細胞から構成される腫瘍群の総称である.消化管の神経内分泌細胞は粘膜内細胞が分化して生じた細胞であり,神経外胚葉ではなく内胚葉性起源であることから,単に“内分泌細胞”とも表記される.一方で,胞体内に神経細胞と共通する形態の神経内分泌顆粒を含有し,ペプタイドホルモン産生能を有していることから,“神経内分泌細胞”とも表記される.「2010年WHO分類」1)では,これら細胞から構成される腫瘍群は,“神経内分泌腫瘍”として統一されており,本稿でもこの名称を用いることとする.
従来,小腸・大腸を含めて消化管原発の神経内分泌腫瘍は,組織学的に低異型度で生物学的に低悪性度のカルチノイド腫瘍と,高異型度で高悪性度の内分泌細胞癌に大別されてきた.「2010年WHO分類」1)では,これら消化管および膵原発の神経内分泌腫瘍は,細胞増殖能に基づき統一して分類されることとなった.すなわちNET(neuroendocrine tumor)とNEC(neuroendocrine carcinoma)とに大別され,さらにNETはGrade 1(G1)とGrade 2(G2)とに分類される.NETは従来のカルチノイドに,NECは内分泌細胞癌にそれぞれ相当する.
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