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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻1号

2014年01月発行

文献概要

今月の主題 ESD時代の早期胃癌深達度診断 主題研究

拡大内視鏡による早期胃癌深達度診断の可能性

著者: 藤崎順子1 堀内裕介1 山本智理子2 吉澤奈津子1 石川寛高1 森重健二郎1 冨田明彦1 大前雅実1 石山晃世志1 平澤俊明1 山本頼正1 土田知宏1 五十嵐正広1

所属機関: 1がん研有明病院消化器内科 2がん研有明病院病理部

ページ範囲:P.77 - P.84

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要旨 陥凹型未分化型早期胃癌を対象に,NBI(narrow band imaging)拡大観察によって確認できる,通常毛細血管より太さが2倍以上であるCV(caliber variation)のSM癌診断に関する有用性を検討した.検討症例は,NBI観察による画像解析が可能であった手術症例77例(M癌38例,SM癌39例)およびESD症例136例(M癌116例,SM癌20例)である.通常観察でSMと確診できる所見が得られた症例は手術例22/39(56%),ESD例5/20(25%)であった.CVがレトロスペクティブな画像の検討で確認できた症例は,手術例ではM癌5/38(13%),SM癌29/39(74%),ESD例ではM癌13/116(11%),SM癌16/20(80%)であった.NBI観察でCVが確認されたSM癌11例を対象にICG静注後に赤外線拡大内視鏡を用い,CVにpooling像があるかを確認し,腫瘍血管か否かを検討した.6/11(55%)にpoolingが確認できた.正常胃粘膜においては粘膜表層にはSMA(smooth muscle actin)陽性血管は出現しないが,IRIで検討したCV陽性例11例では全例粘膜表層にSMA陽性血管がみられた.CV陽性例の55%にICGでpoolingが確認でき,これらについては腫瘍血管であることが証明できた.CV観察はSM癌の診断に有用な所見の一つであると考えられた.M癌におけるCVの出現率は低く,SM癌診断の決め手となる一つの客観的指標とできる可能性がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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