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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻10号

2014年09月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

病変の進行を観察しえた特発性腸間膜静脈硬化症の1例

著者: 辻剛俊1 小松眞史1 提嶋眞人2 吉田達哉1 津田聡子1 石井元1 大野秀雄1 中根邦夫1

所属機関: 1市立秋田総合病院消化器内科 2市立秋田総合病院病理診断科

ページ範囲:P.1534 - P.1541

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要旨 患者は77歳,女性.主訴は,右下腹部腫瘤,腹満,腹痛,便秘.大腸内視鏡検査で回盲部~上行結腸は暗紫色調で浮腫状であった.組織学的検査にて,粘膜下層~漿膜にかけて,静脈壁の肥厚と血管周囲性の膠原線維沈着を認めた.Congo red染色像は陰性で,アミロイドーシスは否定的であった.腹部造影CT検査にて肥厚した結腸壁内と腸間膜の石灰化を認め,特発性腸間膜静脈硬化症の診断となった.病因との因果関係は不明であるが,便秘症のため,22年間センナ系下剤を内服していた.最終的に臨床症状が強くなったため手術し,症状の改善に至った.長期的に経過と病変の進行を観察しえた症例である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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