icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻12号

2014年11月発行

文献概要

今月の主題 大腸LSTの診断と意義—拡大内視鏡を中心に 主題症例

一部でSM浸潤を来していたLST顆粒型病変の1例—SM浸潤部の拡大内視鏡所見を中心に

著者: 井出大資12 斎藤彰一1 猪又寛子1 大谷友彦1 玉井尚人1 相原弘之1 加藤智弘1 田尻久雄12 池上雅博3

所属機関: 1東京慈恵会医科大学内視鏡科 2東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科 3東京慈恵会医科大学病理学講座

ページ範囲:P.1755 - P.1760

文献購入ページに移動
要旨 患者は70歳代,男性.健診で便潜血反応陽性を指摘され,近医を受診した.下部消化管内視鏡検査を施行したところ直腸下部に約40mm大のLST-G(結節混在型)を指摘され,当科へ紹介,受診となった.通常光観察では,結節隆起部位で発赤調の陥凹面を認めた.NBI拡大観察では陥凹面で血管の口径不同が目立ち,一部では血管密度が低下し,surface patternは不整であった.色素拡大観察では,結節隆起の陥凹面でVN型pitと診断した.SM深部浸潤癌が疑われたが,完全摘除生検目的にESDを施行した.周囲の顆粒均一部は腺腫成分が主体で,結節隆起部は異型の高い高〜中分化型腺癌の増生を認めた.結節部の直下で,筋板を破って粘膜下層浸潤を来していた.最終病理診断は,well to moderately differentiated adenocarcinoma with tubular adenoma,T1b(SM 2,250μm),ly0,v0,簇出Grade 1であった.

参考文献

1)工藤進英.早期大腸癌—平坦・陥凹型へのアプローチ.医学書院,pp 42-45, 1993
2)工藤進英,工藤由比,笹島圭太,他.LSTの定義.早期大腸癌 10 : 377-382, 2006
3)佐野寧,傅光義,加藤茂治,他.IIcとLST非顆粒型の相違点と類似点 : Laterally spreading tumor(LST)non-granular typeの臨床・分子病理学的特徴—IIc型大腸腫瘍との比較.早期大腸癌 4 : 357-366, 2000
4)尾田恭.表面型大腸腫瘍にみられる“偽足様所見”の診断学的,腫瘍生物学的検討.Gastroenterol Endosc 38 : 2815-2825, 1996
5)田中信治.世界における大腸LST/IIcの認知度,位置づけ—これまでの歴史と京都ワークショップ2008の印象を踏まえて.早期大腸癌 12 : 613-618, 2008
6)大腸癌研究会.大腸癌取扱い規約,8版,p 9,2013
7)斎藤豊,坂本琢,福永周生,他.治療法選択からみた側方発育型大腸腫瘍(LST)の分類と意義.胃と腸 45 : 1001-1010, 2010
8)二上敏樹,斎藤彰一,石井宏則,他.大腸pSM癌に対する内視鏡治療根治基準の拡大.胃と腸 46 : 1459-1468, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら