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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻12号

2014年11月発行

文献概要

早期胃癌研究会症例

特徴的な内視鏡所見を示し免疫組織染色にて診断しえた直腸子宮内膜症の1例

著者: 赤坂智史1 加藤元彦2 本間圭一郎3 井上拓也4 重川稔4 辻井芳樹4 藤永哲治4 前川聡4 林義人4 山田拓哉45 新崎信一郎4 西田勉4 飯島英樹4 辻井正彦4 森井英一3 竹原徹郎4

所属機関: 1大阪府立成人病センター消化管内科 2国立病院機構東京医療センター消化器内科 3大阪大学医学部附属病院病理部 4大阪大学医学部附属病院大学院医学系研究科消化器内科学 5国立病院機構大阪医療センター消化器科

ページ範囲:P.1784 - P.1789

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要旨 患者は40歳代,女性.血便を主訴に来院した.下部消化管内視鏡検査を施行したところ,直腸Ra〜Rs右壁側に径20mm大の表面やや不整な粘膜下腫瘍様隆起を認め,表層の一部に特徴的な発赤調の結節状隆起を伴っていた.EUSでは,病変部の第4層の肥厚を認め,肥厚部と連続して直腸壁外に径20mm大の内部に一部高エコーな領域を含む低エコー腫瘤が描出され,発赤調の結節部では第3層が途絶していた.生検組織では腺癌も疑われたが,特徴的な内視鏡像から本疾患を疑い,免疫染色を加えることで腸管子宮内膜症と診断した.診断後GnRH(gonadotropin-releasing hormone)アゴニスト療法を開始した.3か月後の下部消化管内視鏡検査では病変の退縮を認めた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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