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文献詳細

雑誌文献

胃と腸49巻13号

2014年12月発行

文献概要

今月の主題 胃の腺腫─診断と治療方針 主題

胃腺腫に対する治療方針—私はこう思う;積極的に治療する立場から

著者: 大工原誠一1 菅智明1 岡村卓磨1 関口智裕1 北畠央之1 丸山康弘1 小林聡1 野沢祐一1 福澤慎哉2 北原桂1 新倉則和2 太田浩良3 田中榮司1

所属機関: 1信州大学医学部内科学第二教室 2信州大学医学部附属病院内視鏡センター 3信州大学医学部保健学科生体情報検査学

ページ範囲:P.1850 - P.1857

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要旨 生検で胃腺腫と診断された病変に対する内視鏡的治療の適用に関しては,明確なガイドラインは存在しない.生検で胃腺腫と診断された症例の中で内視鏡的切除が施行され,切除標本の評価で癌および腺腫と診断された症例について検討を行った.2004年4月〜2014年3月までの間に,内視鏡生検で胃腺腫と診断され,内視鏡治療を施行した124例を対象とした.内視鏡切除標本で胃癌と診断された症例は124例中64例(52%)であった.また,腫瘍長径が20mm以上,発赤調の病変は切除標本で癌と診断される割合が高かった.粘膜下層浸潤や脈管侵襲を伴う症例が存在することからも,生検で胃腺腫と診断されても内視鏡所見,患者背景を考慮して積極的に内視鏡的切除を行ってもよいと考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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